ぜんそくはオリンピック選手に最も多い慢性疾患

 2002年から2010年に行われた過去5回の夏季・冬季のオリンピック選手のデータを分析したところ、アレルギー性の気管支ぜんそくによく見られる「気道過応答」をはじめとするぜんそくが、オリンピック選手に最も多くみられる疾患であることが、西オーストラリア大学のKenneth D. Fitch博士らの研究から、明らかになり2012年8月号のBRITISH JOURNAL OF SPORTS MEDICINEに発表されました。

 研究者らが過去5回の夏と冬のオリンピックに出場した選手の服薬記録を解析したところ、抗ぜんそく薬として一般的に用いられるβ刺激薬、別名β-2アゴニスト(IBA)を服用している選手が、選手全体の8%に及んでいることで明らかになり、ぜんそくがオリンピック選手にとって最も悩ましい慢性疾患であることがわかりました。β刺激薬は、気管支を拡張して息苦しさを緩和する作用がありますが、副作用として動悸、息切れ、手や指の震え、脱力感、頭痛などがあります。

 さらに詳しく調べると、夏のオリンピックよりも冬のオリンピックの方がぜんそく症状を抱える選手が多いことがわかりました。これは冷たい空気の刺激が、肺や気管支に及ぼす刺激が強く、発作を誘発しやすいことが関係しているのではないかと示唆します。さらに、スケートリンクなどで氷を平らにする時に発生する氷の粒子が、呼気と一緒に気管を傷つけているのではないかと推察しています。また、オリンピック選手は、大気汚染の中で激しい練習を続けることで、より気管支を刺激しすぎてしまうかもしれないため十分に注意する必要があると示唆しています。

医療ジャーナリスト 宇山恵子

Kenneth D. Fitch. "An overview of asthma and airway hyper-responsiveness in Olympic athletes". BRITISH JOURNAL OF SPORTS MEDICINE 46(6): 413-416, may 2012. DOI: 10.1136/bjsports-2011-090814