最後の球団に選んだのは名門ヤンキース
イチロー「同僚にも知らせなかった〝電撃トレード〟の全真相」

フライデー プロフィール
'02年のシーズンオフ。黒塗りのハイヤーで都内のジーンズ店に乗りつけ、試着したデニムのヒップラインをチェックする姿を本誌がキャッチ。貴重なプライベートショット〔PHOTO〕小松寛之

 選手にとって視力の低下は致命的だ。日本でレギュラーを獲得した'94年以降、毎年守ってきた打率3割も昨年初めて切った。さらに今年に入ると、イチローを追い詰めるような〝事件〟が相次ぐ。

「6月19日付の『シアトルタイムズ』に載ったファンのアンケートでは、イチローに関し『1番で起用してほしい』と答えた人が28%だったのに対し、『下位打線で良い』が38%、『トレードか解雇』が30%もいたのです。またマリナーズOBのジェイ・ビューナー氏は『彼の残留を考えると吐き気がする』とスポーツ専門のラジオ番組で答え、物議を醸しました。もはやチームにとってイチローは、高給を食む引退間近のベテラン選手でしかありません」(スポーツ紙メジャー担当記者)

 今季も不振が続いており、プライドの高いイチローにとって、こうした事態は耐え難かっただろう。

「イチローは、重要な決定については同僚にも相談しません。引き際についても、一人で静かに考えたと思います。彼には、以前からキャリアの集大成に決めていた球団がありました。それがワールドシリーズを27回制覇している、ヤンキースだったんです」(前出・メジャー担当記者) 

 実は今回のトレードを希望したのも、イチローである。6月下旬に代理人を通じて、マリナーズのGMに「できればヤンキースに出してほしい」と打診したのだ。

「選手がトレード志願をするのは特別なことではありませんが、移籍球団まで指定するのは異例です。この〝わがまま〟を受け入れるよう現地法人を通じてマリナーズに指示したのが、イチローを入団させたオーナー企業『任天堂』の前社長・山内溥氏でした。山内氏はイチローが'04年に年間最多安打を達成した際、個人で保有していた任天堂の株式5000株を贈呈したほどのイチローファン。イチローもシーズンオフには、必ず京都市内の山内氏の自宅を訪れています。交渉は極秘裏に進められました。トレード発表の会見で、イチローが何度も任天堂幹部に謝意を表したのは、こうした背景があったのです」(在米スポーツライター)

 レギュラーのブレッド・ガードナー外野手を故障で欠くヤンキースにとっても、イチローはすぐにでも獲得したい存在。ヤンキースはマリナーズの提示した、イチローの今季の年俸1700万ドル(約13億3000万円)のうち未払いの225万ドル(約1億8000万円)の負担と有望な若手投手二人の交換という条件をすぐにのみ、交渉はスムーズに進んだ。