「福島千里は体重を増やせ」「ディーンは真上にヤリを投げろ」「北島はマグロ体型に」ロンドン五輪が10倍面白くなる
「金が獲れる物理学」

フライデー
図2
投擲競技の理想の投げ出し角度は45度。しかし、やり投げの場合は助走速度という要素が加わるため、投げる角度を45度より大きくする必要がある

(2)やり投げは真上に投げろ

 同じ陸上競技でメダルが期待されているのは、男子やり投げ代表のディーン元気選手(20・早稲田大学)だ。投擲競技では、投げ出す角度(θとする)と投げ出す速度(vとする)が重要だという。θは45度が最適。また、到達距離はVの2乗に比例するので、投げ出す速度vが速いほど、好成績に繋がる。だが、望月教授はやり投げ特有の問題を指摘する。

「やり投げの場合、他の投擲競技と違い、助走(図2の「走る速度」)がつきます。走っている速度が加わる(同「合成された速度」)ので、選手は45度に投げているつもりでも実際の弾道は低くなる。ディーン選手の日本歴代2位の記録(84m28)を出した時のフォームを見ましたが、投げ出す角度が30度くらいかと思うほど低かった。現在の筋力で記録を伸ばしたければ、それこそ真上に投げる感覚で投げることです。彼の記録と世界記録では十数mの差がありますが、自分の助走速度を正確に知り、その速度に合わせて角度を調整すれば、メダルが狙えます」

図3
北島選手の、水を掻く時に足を曲げる角度が浅い泳ぎ方も、水の抵抗を減らすという点で効果的だという

(3)競泳は「マグロ」を目指せ

 物理学の観点からすると、競泳における一番の課題は水の抵抗である。その点において非常に優れている選手が、男子100m・200m平泳ぎ代表の北島康介選手(29・日本コカ・コーラ)だという。

「北島選手は、頭の形状が優れています。丸い頭は大型船の船首についている『バルバス・バウ』の働きをして、波を打ち消す効果があります。競泳でかかる水の抵抗のうち、最も大きい抵抗である造波抵抗に効果があります」

 水の抵抗を最大限軽減するために、望月教授は日本選手は「マグロ体型」(図3)を目指すべきだとぶち上げる。

「競泳でも短距離走同様、体は大きければ大きいほど有利です。ただし、陸上は足が長い方が有利ですが、競泳では推進力を生み出すのが腕なので、腕が長い方が有利です。そして足は短い方がいい。また抵抗低減のためには、体長を体幅で割った比が2.6ぐらいがちょうどよい」

 重量級やマグロ型の日本選手による金メダルラッシュが始まる日も近い。

「フライデー」2012年8月10日号より