シマジ それは深い言葉ですね。徳大寺さんの幸運は実家が水戸でタクシー会社を経営していたことでしょう。大学生のころは夏休みに2種免許を取ってアルバイトでタクシーの運転手をやっていたっていうんだから、凄いですよね。徳大寺さんはジャグァーをいちばん愛しているようですが、何歳から乗っているんですか?
徳大寺 稼ぎが増えた40代からです。いまはもう生産していない12気筒を乗り回していました。
シマジ 徳大寺さんは事務所の近くの蕎麦屋へ行くにもジャグァーに乗ってましたよね。
徳大寺 はい。
シマジ まるでツッカケ代わりですね。
徳大寺 はい。でも時代は変わりまして、いまやジャグァーは英国のかつての植民地だったインドのタタ・モーターズに買収されたんです。
シマジ 『インドへの道』を書いたE.M.フォースターが知ったら卒倒する話ですね。
徳大寺 エンジンもBMWから提供されていますから、まったく壊れなくなってしまった。いままでのジャグァーでしたら、今日のように熱い日にはオーバーヒートしているでしょう。そうならないための対策として、夏はヒーターで水を熱して回しながら運転しなければいけなかったんです。
シマジ それじゃあオープンカーにしないと乗れなかったでしょう。