徳大寺有恒 第1回 「寛容な美しい精神をわたしに教えてくれた徳大寺さんには、土下座して謝ってもまだ足りない」

島地 勝彦 プロフィール

立木 徳大寺さん、お久しぶりです。立木です。帽子はそのままかぶっていてください。そのほうが面白い写真が撮れます。

徳大寺 いや、立木さんお久しぶりですね。帽子をかぶったままでいいんですか?

立木 前にお会いしたのは、おたがいにブイブイいわせていたころでしたね。徳大寺さんなんか、やりたい放題の時代だったでしょう。もうやりたいことは全部やっちゃったのではないですか?

徳大寺 そうでもないですけどね。

立木 えっ、まだあるんですか。そこが凄いよな。

シマジ 徳大寺さんのように帽子を粋にかぶれる日本人はもういなくなりましたね。

徳大寺 ありがとうございます。

シマジ ここにかしこまっている男は、セオ編集長といって、小学生のときに徳大寺さんのベストロングセラー『間違いだらけのクルマ選び』を読んで、すっかり批評精神に目覚め、気がついたら、編集者になっていたという面白い男です。徳大寺さんを神と仰ぐ編集者です。

セオ たしか小学校5年生のころでしたか、兄貴と兄弟喧嘩になったんです。そうしたら兄貴が「おまえは付和雷同だ」というんですよ。フワライドウって、てっきり市川雷蔵のような俳優の名前だと思った。そしたら兄貴に、「これを読め」って渡されたのが『間違いだらけのクルマ選び』だったんです。そのなかに、日本の自動車メーカーは付和雷同で流行ばかり追いかけている、と書いてありました。それからずっと徳大寺先生を尊敬しております。

徳大寺 ありがとうございます。

シマジ 徳大寺さん、今日は何の葉巻を吸いますか?

徳大寺 ここには何でもあるからなあ。そうですね、それじゃあ、ラモンアロネスのグラディエーターをいただきましょうか。

シマジ どうぞ。わたしはパルタガスの898を吸います。