[カヌー]
北本忍<Vol.2>「ロンドンで“波がない”レースを」

スポーツコミュニケーションズ

課題は向かい風対策 

 北本にとっては3度目の五輪まで、あとちょっと。念願のメダル獲得への課題は、4位だった前述の世界選手権にある。決勝のレースでは、向かい風にあおられてスピードが出ず、表彰台に一歩届かなかった。体重は61キロと軽い分、追い風は有利だが、向かい風になるとカヌーが押し戻され、どうしても不利になる。

 今回の五輪会場はロンドン市内から西に40キロほど離れたウインザー城の近く。だだっぴろい平野にコースがあり、風が強いと評判だ。メダルを狙うには、たとえ向かい風でもカヌーを前に進める技術が求められる。

「もちろん、その技術の部分にも取り組んでいます。ただ、その技術ができる時とできない時の波がある。できる時は完璧だけど、できない時はまったくできない。どうして、そんなに波ができるのか、自分ではまだ分かっていない部分があります。調子が悪い時に試合が当たってしまったら、修正できない」

 カヌーは自然の中で行われる競技である。どうあがいても風や波まではコントロールできない。しかし、自分ならコントロールできる。調子の波、気持ちの波、テクニックの波……。「すべてにおいて、こうすればいい状態にできるという方法論を見つけたい」と北本は語る。それさえ発見できれば「メダルは見えてくる」と感じている。

 出場を決めているシングル200メートルの決勝は、五輪のフィナーレ前日(8月11日)。自身もコースの水面も波が立たない最高の状態で、スタートの瞬間を迎えられることを北本は祈っている。

(おわり) 

北本忍(きたもと・しのぶ)プロフィール>
1977年2月1日、兵庫県生まれ。富山県体育協会所属。川西北陵高ではバレーボール部に所属。武庫川女子大進学後にカヌーを始める。04年のアテネ五輪 カヤック500メートルフォアで日本勢初の決勝進出に貢献(9位)。北京五輪では同500メートルペア(5位)とフォア(6位)でいずれも入賞。09年の W杯第1戦(チェコ)では同シングル500メートルで日本人初の優勝。翌10年の世界選手権(ポーランド)では同種目で初の銅メダルに輝く。この年の広州 アジア大会ではカヤックシングル200メートルで金メダル。11年の世界選手権で同種目で4位に入り、ロンドン五輪の出場権を獲得した。身長163セン チ。

※この原稿は2012年5月に執筆した内容を加筆、修正したものです。
(石田洋之)