グーグルの37歳女性幹部は、制度疲労に苦しむヤフーをどう建て直すか

マリッサ・メイヤー氏の経営手腕に望みを託した米ヤフー〔PHOTO〕gettyimages

 米ヤフーが今月16日、同社の新CEO(最高経営責任者)に米グーグルのマリッサ・メイヤー(Marissa Mayer)氏を引き抜いて、大きな話題となった。1990年代からインターネット産業をリードしてきたヤフーは、その後グーグルやフェイスブックなど、言わばネット第二、第三世代の企業に圧倒されて経営状態が急激に悪化。これを立て直すため、この5年間で5人もCEOを交代させており、メイヤー氏で6人目の挑戦者となる。

 改めて断るまでもなく、米国企業の経営スタイルは日本企業のような社内昇進ではなく、産業界にプールされている経営者候補の中から、有望な人材をリクルートしてくるのが常だ。ちょうどMLBのようなプロ・スポーツと同じく、彼らスター経営者は成功すれば数億円、数十億円というような巨額の年収を得る反面、成果を出せなかったり、何か問題を起こせば、すぐにお役御免になる。

 たとえばメイヤー氏の前任であるスコット・トンプソン氏は一種の学歴詐称問題で、今年5月にヤフーCEOの職を解任された。就任から5ヵ月足らずのことだった。さらに、そのまた前任者であるキャロル・バーツ氏は、それまでヤフーのコア・ビジネスであった検索エンジンをマイクロソフトに売却するなど思い切った経営刷新を打ち出したが、これが実らず、就任から2年余りで解雇されている。

 トンプソンとバーツの両氏は、それ以前にはインターネット産業とは縁の薄い経営者であったことから、この業界のCEOプールは意外に浅いとの見方も囁かれていた。

優れたタレントをかき集めて業績回復を図る

 新たにヤフーCEOに就任するメイヤー氏はまだ37歳と若く、いわゆるフォトジェニックな容姿から、これまでも度々マス・メディアに登場して、グーグルの企業イメージを売り込むなど、同社のスター的な存在だった。ヤフー側から見た場合、彼女がグーグルで積んだ13年間の経験は、トンプソン氏やバーツ氏とは違い、本当のインターネット・ビジネスのスペシャリストであるという点で大きな意味を持つ。

米ヤフーの新CEOに就任したマリッサ・メイヤー氏〔PHOTO〕gettyimages

 メイヤー氏は米西海岸の最高学府、スタンフォード大学でコンピュータ・サイエンスの修士号を取得している。グーグル入社後は、「検索エンジン」や「Gメール」など同社中核製品の「外見や使い勝手(英語では「Look and Feel」)」を担当した。

 グーグルにおけるメイヤー氏の直近の肩書は「検索製品と顧客体験・担当副社長」だが、実際には同社経営陣に上がってくる様々な新製品のアイディアを吟味し、「このサービス(製品)は行けそうだ、これは行けそうもない」という判断も彼女がしていた。

 もちろん彼女が単独でそれを決めていたわけではないが、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンの両創業者、さらには前CEOのエリック・シュミット氏ら実力者に対しても、メイヤー氏は相当な影響力を持っていたとされる。

 ヤフーCEO就任に際し、メイヤー氏は「(グーグルやヤフーのような)技術企業を牽引するのはタレント(才能)しかない。(ヤフーCEOに就任後は)シリコン・バレー中から優れたタレント(エンジニア)を発掘して、採用したい」と抱負を述べている。ここから伝わってくるメッセージは単純明快である。要するにメイヤー氏自身に、ヤフーのような低落気味の大企業をリードする明快なビジョンがあるかどうか、それは未知数なのである。

 しかし少なくとも「自分には、(グーグル時代に培われ、そこで証明された)製品を見る目がある。だから、あとは優れたタレントをかき集めて、彼らに好きなものを作らせ、それがユーザーに受け入れられるか否かの判断は自分がする。そうすればヤフーは立ち直るはずだ」と彼女は言っているのだ。

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