[虎四ミーティング]
山本博(アーチェリー)<前編>「調子の良し悪しで的の大きさが違う!?」

スポーツコミュニケーションズ

老眼に奪われた最大の楽しみ

二宮: 視力の衰えも関係してくるのでしょうか?
山本: そうですね。僕は乱視がひどくなってきていて、標的面が重なって見えていたのですが、それはレーシック手術で治しました。ただ、最近は老眼に困っていますね。実際のインプレー中に影響はないのですが、一つのプレーが終わって、次のプレーに向けて微調整する際、腕時計の数字さえも見づらくなってきている目では、それ以上に小さな照準器の数字を見るのはとても大変なんです。

二宮: 老眼鏡をかけようとは……?
山本: 私もそう思って、微調整する時だけ老眼鏡をかけるようにしたこともあったのですが、これが精神的にあまりよくなかったんです。ルールとして対戦相手と交互に撃っていくのですが、 20秒以内に矢を放たなければいけないんです。しかし、 20秒いっぱいいっぱい使うことは稀で、実際は 12~13 秒ほどで、すぐに自分の番がまわってくる。そうすると、いちいち老眼鏡をかけて微調整して、外して……とやっていると、逆に焦りが出て気持ちの安定感が失われてしまうんです。

二宮: 今はどんな対策を?
山本: とりあえずの対策ですが、自分で印をつけたりして、数字がわかるようにしています。ただ、老眼のおかげで楽しみの一つが奪われてしまいました。標的面に記された円は、太さが1ミリもないんです。その細いラインに少しでも矢が触れていれば、点数の高い内側のスコアとみなされるんですね。それを自分の目で見て、「よし!」というのが、アーチェリーでは何よりの快感なんです。ところが、老眼がひどくなってからは、それすらできなくなってしまった。仕方ないから若い選手に「ちょっと、これ見てくれ」と頼んでジャッジしてもらうんです。人間ですので体に変化はきます。それが、すごく寂しいですね。

二宮: 他人にジャッジしてもらってから知るのと、自分が直接見て、「やった!」と思うのとでは、同じスコアでも快感の度合いは全く違うでしょうね。
山本: そこなんです。これまでアーチェリーという競技は、年齢を重ねても、何か工夫さえすれば、筋力の衰えた部分を違う部分で補うことで、若手にも勝てるんじゃないかと思ってきました。それが現在の生き甲斐でもあるのですが、老眼の問題は想定外でした。