父親の財産よりも父親の知恵が息子の成功には大きな影響力を持つ!

 ベストセラー『金持ち父さん 貧乏父さん』で、著者ロバート・キヨサキは、お金に対する考え方、戦略の違いが結果の違いとなることを指摘していますが、米国・ブリガム・ヤング大学の David Sims教授らが、Journal of Political Economy 2012年4月号に発表した研究で、息子の成功には、父親の財産や所得額よりも、父親から息子に伝えられる人的資源とも言える生きる上での知恵、知的洗練のあり方や、労働倫理などの無形の財産がより大きな影響を持っていることが明らかになりました。

 教授らは世代間の所得の相関性には、父親の財産や所得の直接的影響とその父親から伝えられた知恵や知識などの人的資源の影響の、どちらがより大きく関係しているのか、分かちがたく結びついているかのように見えるために、2つの要因を独立させて分析することが困難でしたが、同様の教育レベルでありながら、居住エリアの労働市場の違いによって運が左右し結果として、貧富に差ができたと考えられるスウェーデンで、1950年から65年に得られた父と息子のデータを分析することで、上記の困難さが解決可能なのではないかと考えました。

 データには父と息子の給与、教育レベル、職業の種類と性質などが含まれていました。データを解析した結果、世代間の所得の関係を説明する要因として、父から息子に伝えられたとみなされる知恵や知識など、人的資源の影響が全体の3分の2を占めることがわかりました。

 この結果に教授らは、今回の分析結果で決着がついたとまではいえないが、所得の世代間伝達の要因を分析する研究のモデルにはなったのではないかとしています。

医療ジャーナリスト 宇山恵子
Journal of Political Economy 2012年4月号