急速な変化が続くオンラインニュースの読み方 ~FlipboardとPocketの躍進

フリップボードのHP

フリップボードとニューヨーク・タイムズがコンテンツ提携へ(Flipboard in Content Deal With New York Times)」 ニューヨーク・タイムズ 2012年6月25日

 6月25日、ニューヨーク・タイムズ紙と人気ソーシャル・ニュース・リーディング・アプリの「Flipboard(フリップボード)」が提携を発表し、大きな話題を呼びました。この提携によって、6月28日から、ニューヨーク・タイムズ紙の定期購読者であれば、美しいレイアウトと操作性が評判の同アプリ(iPad &iPhone)上で記事全文を閲覧することが可能になるのです(有料購読者でなくても、トップ・ニュース・セクションなど一部の閲覧は可能)。

 フリップボードとは、2010年にiPad向けアプリとしてリリースされ、同年末にアップルの選ぶ「ベストiPadアプリ」とされて、2012年2月時点で世界中で800万人の利用者を誇る人気アプリです。iPhoneやAndroidスマートフォン、そしてAmazonの「Kindle Fire」タブレット、Barnes & Nobleの「NOOK」タブレットなどでも利用が可能になっています。

 フリップボードが高い人気と評価を得ている理由はいくつかあります。まず、ツイッターやフェイスブック、リンクトイン、グーグル・プラスなどSNSの友達の間で話題になっているニュースを、独自のアルゴリズムで抽出してくれること。そして何よりも、洗練されたレイアウトや操作性に優れたフォーマットなどを備えていることです。

 ニューヨーク・タイムズが(同紙のウェブサイトや専用アプリ以外の)第三者のプラットフォーム上にコンテンツを提供するのは、史上初めてのことです。それも含めて、「NYT Everywhere」(どこでもニューヨーク・タイムズ)という新しいデジタル戦略を打ち出した同社の試みは、今後の新聞・出版業界、ジャーナリスト、そしてニュースに日々触れる私たち一人一人にも大きなインパクトを与えることになるでしょう。

 ニューヨーク・タイムズが行った調査によると、すでに同紙の読者の約2割は「(フリップボードのような)外部のアグリゲーション(集約)&キュレーション・サイトで記事を読む」と答えており、ニュースの読み方や共有の仕方に大きな変化が起きつつあることを示しています。

選んだニュースを「あとで読む」ためのアプリ、「Pocket(ポケット)」 が急成長

熱心なウェブ・サーファーのためのコンテンツをしまうこじんまりした場所(A Content Cubbyhole for Avid Web Surfers)」 ブルームバーグ・ビジネス・ウィーク 2012年6月14日

 前述したアグリゲーション&キュレーション・サービスとしては、フリップボードの他に「Zite(ザイト)」「Pulse(プラス)」「News.me(ニューズ・ミー)」のようなサービスが知られています。ツイッターやフェイスブックに加えて、こうしたサービスを使うことにより、自分の興味や関心に合う日々のニュースを、私たちは容易に見つけることが可能になりつつあります。

 一方で、「魅力的」「有益」としてソーシャルメディア上の友人・知人から推薦されるニュースや情報も爆発的に増えています。そのような膨大な情報をどうやって消費、管理すればいいのか、悩ましく感じている人も多いはずです。

 この問題を解決する仕組みとして、最近注目を集めている「あとで読む」サービス「Pocket(ポケット、旧称Read It Later) 」をご存じでしょうか? 類似サービスの「Instapaper(インスタペーパー)」などと併せて、日本国内でもすでに、なくてはならない存在として毎日使っている人も多いようです。私自身は、実は今回のブルームバーグ・ビジネス・ウィークの記事を読んでこのPocketに改めて興味を持ち、使い始めました。簡単に紹介します。

PocketのHP

 Pocketの原型が産声を上げたのは、2007年8月、アメリカでのことです。当時23歳のウェブ開発者だったネイト・ワイナー氏が個人で作り出した「Read It Later(リード・イット・レイター、後で読むという意味)」は、単純に自分が興味を持ったウェブ上の記事を保存しておき、後で読む---という無料サービスでした。当初はウェブ・ブラウザーFirefoxの拡張機能としてスタートし、後にスマートフォン・アプリなどに発展します。

 Read It Laterによって、記事でも動画でも画像でも、ウェブ上の気になるものは、iPad、iPhone、Androidスマートフォン、PCのブラウザー、Kindle Fireなど、あらゆるデバイスで保存・閲覧することが可能になりました。以後は、インターネットアクセスのないところでも閲覧することができる。そういう優れたサービスでした。

 やがてRead It Laterは300以上のモバイル・アプリ・サイトと連携します。そのため、フリップボードなどのアプリで見つけた記事などの中から気になるものを保存し、後に、洗練されたレイアウトで読むことが可能になりました。さらにそれを、ツイッターやフェイスブックを使えば簡単に共有できるようにもなりました。Read It Laterの秀逸な特徴です。

 シンプルながら、「後で読む」ことに特化して洗練させた機能やデザインが評判となり、2011年夏にはベンチャーキャピタルから250万ドルの資金調達に成功したRead It Later。現在は開発にも合計8名で取り組む企業になりました。

 2012年に「Pocket(ポケット)」と名を改めてリニューアルした後は、約2ヵ月で200万人の登録ユーザーを獲得し、現在の利用者500万人という人気サービスに成長しました。1日に保存されるアイテムの数は100万件に達するとのことです。

 私もまだ使い始めたばかりですが、その操作スピードの早さ、記事の見やすさなど、利便性の高さは抜群で、もはや生活に欠かせないツールの一つになりつつあります。以下の紹介動画をぜひご覧ください。

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