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佐野慈紀「松坂大輔、ステップアップの兆し」

スポーツコミュニケーションズ

手術したからこそのメリット

 気になるのは、右腕のヒジの位置です。これはメジャー入り後からですが、西武時代よりも下がっているのです。ピッチングの中心となっているカットボールやスライダーの曲げ幅をより大きくするために、松坂投手本人が意識をして下げているのならいいのですが、そうでなければ、修正した方が特にストレートについては彼本来のボールが投げられると思います。ヒジの高さについては、今後も注意深く見ていきたいですね。

 さて、「果たして松坂投手は元に戻れるのだろうか……」と不安な気持ちでいるファンも少なくないかもしません。しかし、私は松坂自身が驚くほど、どんどんいい状態に上がっていくと思っています。実は私も現役時代に松坂投手と同じヒジの手術をしているのですが、手術をしたことによってのメリットがあるのです。それはリハビリ期間中は体全体をしっかりとトレーニングすることができるということです。ですから、手術後は意外なほど体の反応がよくなっているのです。

 とはいえ、私自身、本来の腕の振りを取り戻すには約半年間の時間を要しました。とにかく焦りは禁物。今後、必ず良くなっていくと信じて、一段一段ステップアップしていくことが重要です。松坂投手にも、その過程を楽しむくらいの気持ちで投げてほしいなと思います。現在の松坂投手がMAXの状態でないことは確かですから、これからどんなふうに上がっていくのか、見守っていきたいですね。

佐野慈紀(さの しげき)プロフィール>
1968年4月30日、愛媛県出身。松山商-近大呉工学部を経て90年、ドラフト3位で近鉄に入団。その後、中日-エルマイラ・パイオニアーズ(米独 立)-ロサンジェルス・ドジャース-メキシコシティ(メキシカンリーグ)-エルマイラ・パイオニアーズ-オリックス・ブルーウェーブと、現役13年間で6 球団を渡り歩いた。主にセットアッパーとして活躍、通算353試合に登板、41勝31敗21S、防御率3.80。現在は野球解説者。