先天異常、ダウン症の可能性がこれだけ高まる 国民的大問題高齢出産のリスクを考える

週刊現代 プロフィール

 結果、心臓に重大な欠陥が2つ見つかりました。保育器の中で小さな体に何本も針を刺されて、この子は幸せなのだろうか。私は責任を持って育てられるのだろうか、そう思ったのを憶えています。ダウン症のことは、その10日ほど後に知らされました。

 思えば、もし次男を産む前に障害のあることが分かっていたとしたら、おろしていたかもしれない。でも今は、心から産んでよかったと思っています。次男を産んで以来、出生前診断には反対しているんです」

何歳が限界なのか

 高齢出産のリスクは、胎児だけに降りかかるわけではない。もちろん、母親自身の健康にも深く関わってくる。

 長野県の諏訪マタニティークリニック院長で、生殖医療の第一人者である根津八紘医師は「私の医院では45歳以上の患者さんには不妊治療の受診を一切ご遠慮いただいています」という。その理由を尋ねた。

「45歳以上の方は妊娠率が非常に低く、たとえ妊娠しても流産することも多く、治療が功を奏する確率が低いのです。また、子育てという局面を考えても、母乳で育てられる人は減り、体力的にも非常に厳しくなる傾向がある。

 こうしたことから、高齢出産は妊娠・出産・育児それぞれで問題を抱えていると言わざるを得ない」

 根津医師は、高齢出産の最大のリスクとして、本人の健康状態を挙げる。

「年を取れば、当然若い頃に比べて肉体的に様々な問題が出てきます。糖尿病や高血圧、動脈硬化などの傾向がある人が妊娠すれば、どうしてもトラブルが起きやすくなる。

 具体的には動脈硬化が原因で、妊娠中に脳内出血や脳血栓、妊娠性高血圧症(いわゆる妊娠中毒症)を起こしたり、また加齢で産道が硬くなって難産になることも多い」

 根津医師によれば、ここ数ヵ月、クリニックを訪れる患者の半分以上が40歳台で、高齢出産の増加を日々実感しているという。少しでも危険を避けるため、初診の際には患者の血管年齢検査も欠かしていない。

 晩婚化、そして高齢出産増加の原因は、日常生活にも潜んでいる。生殖心理カンウンセリング研究所所長の菊田映美氏によれば、共働き夫婦のコミュニケーション不全が高齢出産に影響しているという。

「夫婦共働きでキャリアを積んでいる女性の場合、ついつい子作りより仕事を優先してしまうんですね。年齢とともに母体も卵子も老化することはわかっていても、それを口にすれば、仕事優先の自分の責任ということになるので、なかなか夫に言い出せない。