なぜか「患者」は大企業のサラリーマンと公務員ばかり「新型うつ」これが真相です

週刊現代 プロフィール

厳しくすると治る

 公務員だけでなく、民間企業でも、就業規則によって同様の厚遇を受けられる会社もある。是非はともかくとしても、中小企業なら長期休職したらクビを切られるというところも少なくない。そういう会社では、事実、「新型うつ」になる社員はあまりいない。

 九州に住む地方公務員の男性は、こんな同僚の話をしてくれた。

「公立中学の事務員をしているのですが、40代前半のDさんは、うつの診断書を持ってきては半年ほど休職し、復職したと思ったら2ヵ月後にまた休職、ということを繰り返しているんです。職場に来ると、私たち同僚に『楽しておカネを稼ぐ方法を教えてあげる』と、うつ病の診断書をもらいやすい病院情報などを嬉しそうに話すんです」

 楽して、もらえるものはもらっておけ—この構造、なにかに似てはいないだろうか。生活保護の不正受給、だ。

「一部には『給料をもらいながら休めるだけ休もう』などという考えの患者もいて、周囲からの反感を買いやすいため、本来のうつ患者にも偏見が生じてしまう。これは、生活保護の不正受給問題と同じ構造になってしまっています。ただ『患者』を責めるだけでは解決しない。自社の休職規定なども再検討すべきだと思います」(吉田医師)

 上司がうつの発生に一役買っているケースも多いという。

「職場では、頻回に欠勤する職員を出してしまうと、上司の管理責任が問われる場合があります。ですからそれを避けるために、上司も部下の休みが増えてくると、どこも悪くないのに『君は欠勤が多いからうつ病かもしれない。病院で診断書をもらってこい』と指示するような事例もあるのです」(吉野医師)

 いうまでもなく、公務員の給料は国民の血税から支払われている。公務員がこのような実態では、到底納得できない。

 一般企業にとっても、新型うつ患者の増加は、経営を圧迫する要因になる。吉田医師のクリニックでは、社員1人が病気で休職した場合、会社にどれくらいの金銭的負担がかかるのかを試算している。

 たとえば、年収500万円の社員が12ヵ月間休職したとする。試算期間は休職前と復職後(リハビリ期間)の各3ヵ月を併せて計18ヵ月間。もし普通に働くと、給与と福利費で約872万円かかる。これに対して、休職した場合は、傷病手当金や福利費、同僚の残業代、代替社員に必要なコストなどで、1512万円かかる。結局、173%も会社の負担がアップしてしまうのだ。

 民間企業では、休職が長引く社員による負担を減らすために、就業規則を見直す会社が増えている。また、そもそも新型うつを増やさないための対策を講じている企業も多いという。