文/舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
「神の御加護のおかげで勝てた。僕だけの力では勝てなかった」
全米オープン最終日。首位と4打差の8位タイから最終日をスタートしたウエブ・シンプソンが最終組でプレーしたジム・フューリックとグレーム・マクダウエルを1打差で逆転し、アメリカ合衆国のナショナルチャンプに輝いた。
26歳。全米オープン2度目の出場で栄冠を勝ち取った。
「正直、優勝するなんて想像もしていなかった。すごい。言葉が見つからない。神のおかげだ」
「God(神)」を何度も口にしたシンプソンの笑顔を眺めながら、思い出されたのは、彼が初優勝した昨年のウインダム選手権の表彰式。
「ジーザス・クライスト!」
あのときシンプソンはトロフィーを掲げながら、そう叫んだ。
敬虔なクリスチャン。常に神に感謝している。だが、祈るだけで勝てるはずはなく、努力を積み重ねてきたからこそ、神の御加護を賜ることができ、勝利の女神も彼に微笑んだのだと私は思う。