スペシャルレポート プロ野球 寮長たちは見た!
「一流と二流、これが分かれ目」

週刊現代 プロフィール

 牛乳を飲む程度だった朝食にはフルーツが加わるようになり、気付けば誰よりも胃袋の大きな選手に変わっていた。

 その類まれな吸収力が、坂本を一気にトップスターへと押し上げた。

「キャンプでは首脳陣が必ずチェックするポイントなんです。食べないと体が弱くなるだけでなく、集中力が低下し、ケガの原因にもなる。食べない選手はそれだけで絶対使ってもらえませんから」(同前)

 しかも、決まった時間に決まった量の食事が用意される寮と違い、一人暮らしとなれば自分の体質にあった食事を、自分で用意しなくてはならなくなる。

「山口は、'08年に寮から通いながら60試合以上投げて新人王を獲った。思い通りにいかない環境の中で、生活のサイクルを確立できたからこそ、60試合以上の登板を毎年続けられる、心と体を手に入れられたんです」

 '08年秋、晴れて退寮を認められた山口は、樋沢氏に、

「もし去年のような甘い考えのまま、寮を出ていたらと思うとゾッとします」

 と頭を下げた。

 前述の試合後のコメントには、続きがある。

「チームが勝てばそれでいい。また準備するだけです」

 寮での〝おまけ〟の1年が、山口を人間的にも選手としても大きく飛躍させた。

 山口と同じく育成出身ながら、今季ソフトバンクで開幕からローテーションを守り、すでに5勝(7日現在)を挙げている、山田大樹(23歳)という投手がいる。

 彼がまだ育成選手だった、プロ2年目の'08年のことだ。オフが明けて寮に戻ってきた山田の体が、一回り小さくなって見えた。

「どうした?なにがあった?」

 当時、「西戸崎寮」の寮長を務めていた田中和彦氏(現・球団トレーナー統括)は、驚いて山田に尋ねた。

「どうしても太りやすいので、ダイエットしてきたんです」

 山田はそう言って、「調子がいいから」と、その後も食事制限を続けながらトレーニングに励んだ。ところが、しばらくして山田は、利き腕の左腕を骨折してしまう。

「とにかく練習熱心で、止めるまで、いつまでもトレーニングを続けるような選手なんです。