スペシャルレポート プロ野球 寮長たちは見た!
「一流と二流、これが分かれ目」

週刊現代 プロフィール

「実は、私の知る限り、部屋が綺麗すぎる選手もまた、いい成績を残せていないんですよ(苦笑)。神経質になりすぎると落ち込んだときに立て直すのに時間がかかってしまう。
投手は打たれるものだし、捕手は投手以上に打たれた原因を考えなければいけないものですから、もう少し楽に考えられるようになれば、もっと伸びますよ」

 正捕手・石原慶幸の負傷もあり、白濱は堅実なプレーで、今季ここまで23試合に出場(6月7日現在)。昨年わずか7試合だった自身の出場記録を、更新し続けている。

 圧倒的な吸収力の投手もいれば、神経質な遅咲き捕手もいる。どうすれば、すべての選手が「一流」に育つのか—いくら考えても、答えは出てこない。寮長にできることは決して多くない。

「なぜ引き受けてしまったんだろう・・・・・・」

 電気を消し忘れた部屋、小声の挨拶、玄関に脱ぎ捨てられた靴---それらに接する度、中日の「昇竜館」館長・豊田誠佑氏は、今の仕事に就いたことを後悔した。

「あくまで就任したての'08年のことですけどね(笑)。当時は大げさではなく、朝から晩まで選手たちを怒鳴り続けていました。例えば、風呂の入り口にスリッパが散らばっていたら、湯船から出てこさせてきちんと並べ直させたりね。当時新人だった小熊(凌祐・21歳)などは顔を見れば叱るような状態でした」

 それが着任から3年が経ち、当時の新人たちが、豊田氏の代わりにルーキーたちに薫陶を授けている。

「そういう光景を目にすると、単純に嬉しい。小熊も最近やっと挨拶が聞こえるようになって、食事中にヒジもつかなくなった。でもゆっくりでもいいんですよ。スリッパがバラけていることに気づけば揃える。電気が点いていたら消す。その意識は、試合中の視野を広げることに繋がっていくんですから」

 生活のすべてが野球脳を鍛えるきっかけにできる。寮での共同生活は、その準備の一環になっている。

退寮できる選手、できない選手

「準備は普段と変わりありませんでした。ここまで記録を続けられたことが奇跡ですから」

 今月5日のソフトバンク戦、今シーズン初めて失点した巨人のセットアッパー・山口鉄也(28歳)は、試合後、いつもと同じように、少しだけ物足りないコメントを残した。

 その日で潰えてしまったが、開幕から積み上げた24試合連続無失点は、セ・リーグタイ記録だった。

 謙虚な男・山口が口にする「準備」とは、「ジャイアンツ寮」で過ごした'06年からの3年間で叩きこまれたものだ。