上から5番までは本物です
首席で卒業した男の頭脳

「東大までの人」と「東大からの人」第2弾 vol.1
週刊現代 プロフィール

 親がガリ勉を強制するという風景は、「本物」が育った家庭にはほとんどない。それをするのは、「東大までの人」の家庭なのだ。

 東大3年生のときに司法試験に合格した土井香苗氏(34歳)も、「勉強に関しては両親とも無関心だった」と振り返る。

「中学・高校と桜蔭で、よく勉強する子が集まる学校だったので、私もやりたいと思うようになって受験勉強を始めました。親は勉強には無関心で何も言いませんでしたが、ただ門限が厳しいんです。だから家には早く帰る。自宅では特にやることもないから、勉強をしていました。全国模試では、大体全国の数十番以内に入っていました」

 東大進学は、周囲に東大に進む人が多かったので、なんとなく決めた。特に明確な意志があったわけではない。司法試験も、法学部だから受けるというくらいの気持ちだった。

「2年生くらいから勉強を始めました。私の勉強方法はシンプルで、大好きな伊藤真先生(資格試験予備校『伊藤塾』の塾長)の言ったことだけをひたすらやった。それだけで受かってしまったという感じですね。
  一緒に受けた友達にライフネット生命の岩瀬大輔君(後述)がいるんですが、彼は自信満々で、試験が終わったあと『すごくできた。チョロい』と言っていたんです。でも落ちました(笑)。私は『全然ダメ』と思っていたんですが、最後まで余裕を持たなかったのがよかったのか、初挑戦で受かってしまった」

 本人はこう謙遜するが、司法試験の難しさを考えたら、やはり天才と唸(うな)らずにはいられない。弾みで受かるほど甘い試験ではないからだ。

 そんな土井氏にも、苦手はあるという。

「記憶力がよくないんです。それで漢字や英単語が頭に残らず、ずっと苦労しました。中学生までバレエをやっていたんですが、振り付けが覚えられない。法則性がないとダメなんです。浅田真央ちゃんのフィギュアを見ていても、彼女がどうして振り付けを頭に叩き込めるのか、いまだに分かりません」

 バレリーナになりたいという小学生時代の夢は、これで消えた。その後、興味を持ち、やりたいと考えたのは難民救済などのボランティア。将来を考えて司法試験を受けたわけではない。

「恥ずかしい話ですが、弁護士になろうと思ったのは司法試験に受かった後なんです。ピースボートの地球一周クルーズに参加し、アフリカのエリトリアに行って、難民を助けたいという元々の夢を実現しようと思ったとき、ある人から『司法試験に受かったのだから、法律ボランティアのほうがいいのでは』とアドバイスされたんです。それがきっかけで、弁護士という仕事に目が向きました」

 エリトリアでは法律改正委員会調査委員として活動。政府要人と議論し、情報収集に駆けずり回り、新刑法の策定というミッションに尽力した。帰国して卒業後、弁護士になった。現在は国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ東京オフィス代表として、人権活動に取り組んでいる。モットーは「強きをくじく」だ。

 そんな土井氏の東大観はこうだ。

「学生時代は、東大生はあまり好きではなかったですね。自分に自信がないのに虚勢を張っているカッコつけが多かった。18歳の男の子なので仕方ないんでしょうが、今は同窓生もだんだん自信がついてきた。だから最近は彼らも好きになってきました。自信がある人はいいですよね」