モバイル事業でグリーやDeNAの後塵を拝したFacebookがモバイル分野で成功するには

図1: Facebookのアプリ配信サービス「App Center」

 世界最大の交流サイト(SNS)Facebookが先週、主にスマートフォンに向けたアプリ配信サービスである「App Center」を米国で開始した(図1)。日本でのサービス開始は、もう少し先になるので、当面、読者の皆さんには余り関心の無い事柄かもしれないが、このApp CenterはFacebookの将来に非常に大きな影響を及ぼすので、敢えて紹介することにした。

 ご存じの通り、先月NASDAQ市場に上場を果たしたFacebookの株価は、その後、公募価格を30%近く下回ったまま低迷を続けている。その大きな理由の一つに、スマートフォンを中心にしたモバイル端末において同社がほとんど利益を出していないことがある。

 Facebookの主たる収入源は広告だが、同社が得意とするパソコンに比べ、スマートフォンのディスプレイは格段に小さいため、そこに広告を掲載しても効果が薄い。もちろん将来的には、スマートフォン内蔵のGPSでユーザーの居場所を検知し、その近くにあるレストランの広告やクーポンを表示するといった、いわゆる「ロケーション・ベースの新型広告」などが有望視されているが、少なくとも現時点では大した金になっていない。

 株価が低迷しているとはいえ、Facebookの時価総額は730億ドル(約5兆円余り)と途方もない額に達している。これは株式市場が、同社の今後の急成長をすでに織り込んだ評価である。このためFacebookは成長率の高いモバイル分野において、早急に収益源を開拓しないと、株価が上昇するどころか、さらに下降してしまう。App Centerの準備は相当前から進んでいたとは思うが、このタイミングでのサービス開始は、広告に代わる新たな収益源として、同社内部における並々ならぬ期待を背負っている。

モバイル・ビジネスでは広告よりも課金収入が中心

 米国のFacebookやTwitter、あるいは日本のミクシィやグリー、DeNAなど、いわゆるソーシャル・メディアの収益源は、基本的に「広告収入」と「課金収入」の2種類である。これまで米国勢は主にパソコン上での広告収入に大きく依存してきた。一方、日本勢では、ミクシィが米国勢とほぼ同様のビジネス・モデルを踏襲したのに対し、グリーとDeNAはパソコンから携帯(モバイル)に軸足を移し、さらに広告よりもゲームなどへの課金収入に力を入れた。

 彼らは最近、「ガチャ」と呼ばれる、一種の「サイバーくじ」が消費者庁の規制対象にされ、株価が急落するなどの渦中にある。しかし少なくともつい最近までは、年間ベースで数百億円の営業利益を上げるなど、ビジネス的には「パソコン広告」から「モバイル課金」への転換は、正しい判断であったと見るべきだろう。それは、彼らとは逆の道を選んだミクシィが、かつての勢いを今やすっかり失ってしまったことからも明らかだ。

 先週Facebookが始めたApp Centerは、グリーやDeNAのモバイル課金ビジネスと、かなりの共通性がある。つまり、この分野では、日本勢の方がFacebookよりも先を行っている。グリーやDeNAのユーザー数は公称で3000万人以上、これに対しFacebookのそれは9億人以上。ここから単純計算すれば、FacebookのApp CenterはグリーやDeNAのモバイル課金収入の数十倍、金額にして数千億円の利益を叩き出してもおかしくはない。Facebookが新たに開始したApp Centerに大きな期待を抱くのも無理はない。

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