[格闘技]
近藤隆夫「母国ブラジルで引退を賭けて闘うヴァンダレイ・シウバ」

スポーツコミュニケーションズ

「俺はまだやれる」 

 もはや、いまのシウバにはPRIDEのリングで桜庭和志と闘っていた時のような勢いも強さもない。すでに35歳。長く所属したシュートボクセ・アカデミーを離れて独り立ちし、07年12月にUFC参戦して以降の戦績は、3勝4敗と負け越している。

 昨年11月、『UFC139』で格下のカン・リー(米国)に勝利するも、シウバから全盛期の鋭い動きを観ることはできなかった。いま、かつての『PRIDEミドル級絶対王者』は、連敗すればUFCから契約を解除される立場にいるのである。

「負けることが増えたし、以前とは自分が置かれている状況が違うことは、よくわかっている。もう引退か……と俺に言った人もいるが冗談じゃない。母国で、俺はまだやれることを証明したい」

 シウバは決戦を前に、そう話しているが、完全復活を果たすことができるのだろうか。

 今回のシウバ×フランクリン戦はタイトルマッチではないにもかかわらず、通常の<5分×3ラウンド>ではなく、<5分×5ラウンド>で行われる。両者のファイトスタイル、そして互いが戦術を知り尽くし合っていることを考えれば、短期決着の可能性は薄いだろう。心を削り合うフルラウンド・ファイトが予想される。

 スタミナに不安のあるシウバにとって正念場である。負ければシウバの即引退もありうるだろう。これは1年4カ月ぶりの試合となる37歳のフランクリンにも同じことが言えるのだが……。 

近藤隆夫(こんどう・たかお)プロフィール>
1967年1月26日、三重県松阪市出身。上智大学文学部在学中から専門誌の記者となる。タイ・インド他アジア諸国を1年余り放浪した後に格闘技専門誌を はじめスポーツ誌の編集長を歴任。91年から2年間、米国で生活。帰国後にスポーツジャーナリストとして独立。格闘技をはじめ野球、バスケットボール、自 転車競技等々、幅広いフィールドで精力的に取材・執筆活動を展開する。テレビ、ラジオ等のスポーツ番組でもコメンテーターとして活躍中。著書には『グレイ シー一族の真実~すべては敬愛するエリオのために~』(文春文庫PLUS)『情熱のサイドスロー~小林繁物語~』(竹書房)『キミはもっと速く走れる!』 (汐文社)ほか。
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