[ボクシング]
杉浦大介「パッキャオは衰えている?」

スポーツコミュニケーションズ

気になるモチベーション減退

ボブ・アラム氏は今秋にパッキャオ対マルケスの第4戦挙行を視野に入れていると予想される。Photo by Kotaro Ohashi

 ただ……そんな楽観的予想も、すべてはパッキャオが全盛期に近い力を保っていると仮定した場合の話である。2009年にリッキー・ハットン、ミゲール・コットを連続でストップしたあたりまでは破竹の勢いだったパッキャオも、以降は4戦連続で判定勝利に終わってきた。

 特に昨年11月のファン・マヌエル・マルケスとのラバーマッチでは、宿敵を相手に大苦戦。リングサイドに陣取った人々の大半が「負けていた」と語る内容で(結果は2−0で僅差判定勝利)、世界中のファンを多少なりとも落胆させてしまった。

「95マイルの速球を投げていた本格派投手の球速が、数マイル落ちてきたような状態ではないか。依然として凄いボクサーには違いないが、やや衰えが見られるのは確かだろう」

「ESPN.com」のダン・レイフィール記者のそんな言葉は、多くの関係者の考えを代弁している。“超人的”と言われたパッキャオも33歳となり、肉体的にピークを過ぎたのは事実なのかもしれない。そして、

 そんなフィジカル面よりも、さらに気になることがある。ここしばらく、“パッキャオのボクシングに対する意欲に陰りが見られる”と業界内で盛んに噂になっていることだ。2010年に下院選挙に当選して以降、パッキャオの多忙な日々にはさらに拍車がかかった。

 ボクサーとしての活躍に加え、映画、テレビ出演なども多く、そこに政治家としての活動まで追加。混沌とした生活の中で、今年3月には母国での脱税疑惑が持ち上がり、先月には同性愛者の結婚に異議を唱えて物議を醸すなど、リング外でニュースになる機会も増える一方だ。

 しかも今回のブラッドリー戦を前にして、近年は飲酒、ギャンブル、女遊びにも勤しんでいたことを告白。真偽は謎のままだが、“マルケス戦の直前にはジンキー夫人から離婚届を突きつけられた”などという報道もなされている。

 彼の周囲にはさまざまな話題が常に飛び交っており、スケジュールはほとんどクレイジーと言える状態。こんな目まぐるしい日々の中では、“ボクシングに集中できていないのでは”と疑われても仕方ない。政治活動を始めた期日とリング上でのパフォーマンスが下降線を描き始めた時期は重なるだけに、モチベーション減退の噂を完全に否定するのは難しいのが現実だ。