[レスリング]
米満達弘(自衛隊体育学校)<Vol.2>「ブルース・リーを目指せ!」

スポーツコミュニケーションズ

レスリングの世界を変える!

 調子がいい時の米満は、完全にブルース・リーになりきっている。自然と頭の中で「燃えよ、ドラゴン」のテーマが鳴り響く。「アチョ、アチョ、アチョー」。気づけばカンフーのようなステップを踏んでいる。相手はマット上の主役を引き立てる敵役でしかない。
「ブルース・リーになりきっている時は自分のリズムで試合ができていますね。いい結果も出ています」

 最近はそんなスーパースターの生き様を、自らの進むべき道と重ね合わせるようになってきた。
「ブルース・リーが活躍していた当時、アメリカでアジア人が主役をとることは難しかったんです。でもブルース・リーは自分の力で最後はハリウッド映画の主役を演じた。このレスリングの世界もヨーロッパ系が牛耳っている。それを何とか僕が変えたい」

 2012年は五輪イヤー。世界を驚かせる願ってもない舞台が巡ってくる。五輪出場はあくまでも通過点。その先のシナリオも米満の中ではしっかりとできあがっている。

「ロンドンで金メダルを獲って自分だけがワーッと喜んでいるのではなく、自分を支えてくれたコーチやトレーナーの方も喜んでくれている。みんなに恩返しができるといいですね」

 あとはシナリオ通り、米満が世界で一番強い男を演じきれるかどうか。ロンドンの主役になるべく、緊張感あふれる撮影が続いていく。 

(おわり)

米満達弘(よねみつ・たつひろ)プロフィール>
1986年8月5日、山梨県生まれ。中学時代は柔道で全国大会に出場し、韮崎工高でレスリングを始める。3年時にグレコローマン60キロ級で全国高校グレ コローマン選手権と国体を制覇。拓殖大に進学後、4年時には世界学生選手権フリースタイル66キロ級で優勝。学生2冠(全日本学生選手権、全日本大学選手 権優勝)を達成し、同年の全日本選手権も初制覇する。自衛隊入隊後の09年、初出場となった世界選手権では3位入賞。10年の同選手権は初戦敗退に終わっ たが、アジア大会ではフリースタイルでは日本男子16年ぶりとなる金メダルに輝く。11年9月の世界選手権では銀メダルを獲得。同級でロンドン五輪の日本 の出場枠を確保し、12月の全日本選手権で優勝して代表に選ばれた。身長168センチ。

※この原稿は2011年10月に執筆した内容を加筆、修正したものです。
(石田洋之)

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