プロ野球「若き才能」はこうして見出された

特別読み物 中村(ヤクルト)、岩田(中日)、堂林(広島)、宮國(巨人)、川端(オリックス)ほか
週刊現代 プロフィール

 現時点では、二人が競う遊撃の位置には主に明石が立っている。逆に今宮は、ドラフト1位の才能を発揮できているとは言い難い。

「いまの今宮が勝てるのは守備だけ。『使ってもらっている』状態から早く抜け出さないと」(福岡在住スポーツライター)

 わずかに規定打席未満ながら3割3分以上(17日現在)。横浜の1番、荒波翔(26歳・トヨタ出身)もまた、「エリート」というレッテルに悩まされ続けてきた。昨年まで二軍巡回コーチを務めた杉村繁氏が言う。

「せっかく脚が速いのに、入った時のアイツは長距離ばかり狙って打つんだ」

 杉村は事あるごとに「1本の本塁打より、4本のヒットだ」と話し続けた。

「横浜高時代も東海大時代もお山の大将だから。でも社会人まで出た男に後はないからね。貪欲に変化しようと必死にもがいていたよ」

 しかし杉村氏は在任中に、荒波が一皮むける瞬間を見届けられなかった。

「ようやくだよ。今月11日の阪神戦でレフト線(逆方向)に強烈なツーベースを打った。去年までのあいつには見られなかった素晴らしいバッティングだよ」

 しかし「大変なのはこれからだ」と杉村氏は言う。

「1年良ければいいというわけじゃない。大事なのは変わり続けること。内川(聖一)が横浜で首位打者を獲る前、石川雄洋にも全く同じ練習をやらせた。でもいま、二人のいる位置は違う。それは内川が毎年、変化し続けてきたからです」

「使ってもらう」から、「使わせる」へ---どんな立場で入団しても、プロ選手になりふり構う余裕はない。

 横浜DeNAの練習を見に行くと、ランニングを行う若手投手陣から一人離れ、ひときわ大きな体を揺らしながら黙々と走りこむ、育成出身の国吉佑樹(20歳)の姿がある。

 元二軍投手コーチの吉田篤史氏が、「あとは体力が追いつくだけ」と太鼓判を押す逸材は、中畑清監督から「次期エース」に指名され開幕ローテ入り。しかし現在は二軍で無期限調整中だ。

 その国吉の脇を、3桁の背番号をつけたユニフォームが追い抜いていく。

「止まれば抜かれる」---新しい才能は、次の主役の座を狙い目を光らせている。

「週刊現代」2012年6月2日号より