プロ野球「若き才能」はこうして見出された

特別読み物 中村(ヤクルト)、岩田(中日)、堂林(広島)、宮國(巨人)、川端(オリックス)ほか
週刊現代 プロフィール

 国際武道大を卒業後、川端がJRに在籍したのは5年間。「今年こそ指名があるかも知れない」と、ドラフト会議当日、会見場を設置しながら、徒労に終わったことも何度かあった。

 かつて三菱自動車岡崎時代の谷佳知(巨人)を鍛え、今季も川端だけでなく、縞田拓弥(24歳・オリックス2位)、十亀剣(24歳・西武1位)らをプロ選手に育て上げた堀井氏は、

「川端は以前から、プロに入る力はあった」

 と断言する。

「脚も速く打撃もいい。うちでは1年目からレギュラーでした。ただ、決して派手な選手ではないだけに、インパクトがあるプレーを大舞台で残せていなかった」

 5年越しの夢が少し前進したのは、'10年のスポニチ大会だった。堀井氏が言う。

「川端が三塁走者の場面で、捕手がボールをこぼした一瞬の隙に、ホームに帰ってきた。少しでもビビったり判断が遅れたら、暴走と言われるプレーです。

 それを見ていたあるスカウトさんから『ああいうところは、さすがだね』と」

 川端は、決してパンチ力がない打者ではない。2月の練習試合でも西武の牧田和久から122mの特大弾を放っている。それでも右打ち、進塁打、バントと、チームバッティングこそ己の本分と位置づけていた。

「練習も黙々と一人でやる。(プロ入りを)周囲が諦めモードでも陰で努力し続けた」(堀井氏)

 遠回りしたせいか、ブレイクは瞬く間に訪れる。

 プロに入って初めての春季キャンプ、臨時コーチに訪れた赤星憲広氏が岡田彰布監督に、

「20盗塁は軽い」

 と、川端の評価を伝えた。

 いま川端は、同い年の坂口智隆とともに外野を守っている。主砲・T-岡田は3歳も年下だ。口癖は、「僕には時間がない」。遅れてきたルーキーの逆襲は、始まったばかりだ。

 川端とは7歳差になる。中京大中京高のエースとして夏の甲子園を制し、'09年のドラフトでは、内野手として2位指名。広島・堂林翔太(20歳)の経歴に、苦労の影は見受けられない。

 だが、昨オフから二軍監督に就任した内田順三氏の目には、苦悩するエリートの姿が映っていた。