[トライアスロン]
細田雄一<Vol.4>「ロンドンはラン勝負!」

スポーツコミュニケーションズ

フラットな高速コース

 2012年8月7日、細田が立つであろうロンドン五輪のトライアスロンコースは市内中心部にあるハイドパークが主会場になる。公園内のサーペンタイン湖でのスイムを経て、バイクはロンドン市内を駆け巡り、バッキンガム宮殿の前も通過する。そしてランは再び公園内の湖の周りを周回する。このコースを細田は8月の世界選手権シリーズで走り、27位に入っている。

「バイクは街中を走るのでコーナーが多いです。でも道幅が広いので、数カ所を除けばブレーキをかける必要がない。スピードに乗ったまま走れるので、足には負担のかかりにくいコースだと感じました」

 山根はロンドンのコースを「フラットな高速コース」と表現し、次のように語る。
「バイクはコーナーが鋭角ではないので、すごく技術が求められるという感じはしませんね。つまり、ここでは差がつかず、大きな集団になりやすい。ランへのトランジッションまでの位置取りが勝負になるでしょう。バイクの最終周までに前方につけるレース運びができるかどうかがポイントです」

 優勝候補の筆頭に挙げられそうなのが、ジョナサン・ブラウンリーとアリスター・ブラウンリーの兄弟(英国)。8月の世界選手権シリーズでもアリスターが地の利を生かしてバイクから飛び出し、圧勝した。目標を五輪出場ではなく五輪での金メダルに設定している細田が、彼らに勝つにはどんなレースをすべきか。

「まず体を最高の状態に仕上げてロンドンに乗り込みます。スイムでも最高の入りをして、バイクでは落ち着いて走ってランに備える。そしてランニングでアリスターたちと競る。ラスト1キロまで粘って、そこでスパート。最後は最高の笑顔でゴールするんです」

 イメージしているプランはかなり具体的だ。目を輝かせ、いきいきとした表情で熱く語る姿からは本気度が十分に伝わってくる。
「これまでは、そんなこと思っていても言えなかった。でも今はちゃんと言葉にできる。あとは口だけにならないようにやるだけ。それだけ自信がついたんだと感じます」

 ケガに弱かった自分、プレッシャーに弱かった自分、人の失敗を願っていた自分は、もうここにはいない。あるのは昨日より着実にレベルアップしている自分だ。最高の笑顔を輝くメダルが照らしてくれる日を信じて、細田雄一はもっと強くなる。

(おわり)

細田雄一(ほそだ・ゆういち)プロフィール>1984年12月6日、徳島県生まれ。グリーンタワー・フェリック・稲 毛インター所属。小学校5年時に姉の影響で大洲ジュニアトライアスロンで初めて大会 に参加。池田中学2年時からオーストラリアに留学し、地元のトライアスロンクラブの練習に参加する。03年の帰国後、稲毛インターに入り、日本選手権で5 位入賞。05年にはジャパンカップランキング1位に輝く。その後、所属先の変更やケガなどもあって伸び悩むが、10年にITUワールドカップ石垣島大会で 国際レース初の表彰台(2位)を経験。アジア大会では金メダルを獲得する。11年は9月のITU世界選手権シリーズ横浜大会で日本人過去最高の10位。 10月の日本選手権では初優勝を収め、ジャパンカップランキングでも1位を獲得した。12年4月のロンドン五輪大陸別選考会を兼ねたASTCトライアスロ ンアジア選手権で優勝し、代表に内定。身長175センチ、体重64キロ。
>>オフィシャルサイトはこちら

※この原稿は2011年11月に執筆した内容を加筆、修正したものです。
(石田洋之)