[MLB]
杉浦大介「ラスベガスで勝負のときを待つ五十嵐亮太」

スポーツコミュニケーションズ

メジャー昇格で評価を一変できるか

 昨季はマイナーとメジャーを行き来し、メッツとの2年契約を終えたオフにはウィンターリーグで調整するためにドミニカ共和国へ。日本からも魅力的なオファーはあったというが、メジャーで活躍するという目標を諦めなかった。

51sの本拠地キャッシュマンフィールドは収容人員1万弱。やはりメジャーと比べると規模が小さい。

「多くのチームでプレーして、さまざまな経験ができました。アメリカでやることによってより良い自分になることができる。投手として一回り大きくなれているという実感はあります」

 もともと思慮深さを感じさせる選手である。接する人間との間に壁を作らず、良い意味で常に何かを得ようとする気持ちが伝わって来る。新たな適応を余儀なくされた過程で、投手として、そして1人の人間としても幅が広がっているという手応えはあるに違いない。

 ただ……プロのアスリートであれば、分かりやすい形で結果を出さなければいけない時期が必ずやってくる。

 今季は好調な滑り出しをみせたブルージェイズだが、5月5日以降は5勝7敗と失速気味。セーブ失敗数ではリーグ最多というブルペンに、てこ入れが必要になる時期は遠からず訪れるはずだ。そして五十嵐がこのまま好成績を保てば、チーム首脳陣の目を引かないわけがない。

渡米以来、さまざまな場所でアメリカ国歌を聴いてきた。Photo By『野球小僧』編集部

 過去2年の成績を考えれば、もうメジャーリーガーとしては後がない。しかし、打者有利と言われるアメリカン・リーグ東地区に属するブルージェイズで役割を見出せば、周囲の評価も一気に変わる。

 メジャー昇格後の具体的な目標を尋ねても、五十嵐は「まだ上がってないので考えられないですよ」と笑った。しかし、もちろん昇格だけがゴールというわけではない。「この地区で活躍すれば(注目度は)大きいですよ」と声をかけると、「やっぱりそうですよね」と目を輝かせた。

 チーム力の全体的な向上を感じさせるブルージェイズにおいて、ブルペンの一員として活躍後、中継ぎを補強したい強豪チームへ移籍、あるいは、ある程度納得できる数字を引っさげて日本に帰国する……それらすべての魅力的なオプションは、メジャーで結果を出したときに初めて可能となる。

 ニューヨーク、ドミニカ共和国、ラスベガスと続いた長い旅の果てに、間もなく33歳となるリリーバーはどんな答えを出してくれるのか。集大成と言える勝負のときは、もう間近に迫っている。

※成績は現地時間17日現在。

杉浦大介(すぎうら だいすけ)プロフィール>
1975年、東京都出身。大学卒業と同時に渡米し、フリーライターに。体当たりの取材と「優しくわかりやすい文章」がモットー。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシング等を題材に執筆活動中。
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