週現『熱討スタジアム』第15回『渡良瀬橋』『私がオバさんになっても』『雨』森高千里を語ろう

今週のディープ・ピープル 河野伸×中森明夫
週刊現代 プロフィール
もりたか・ちさと'69年、大阪府生まれ、熊本県育ち。'87年、歌手デビュー。可憐なルックスと世相を反映した質の高い楽曲で人気を博した。自身で作詞、作曲をするほか、ドラムを演奏するなど、マルチな才能を発揮

河野 あの歌い方と声が、もう一つのジャンルになっていた感があります。

 加えて彼女を特徴づけたのはドラムですね。彼女のドラミングは大したものでしたよ。ゲームで遊ぶように難なく叩いていた。

中森 確か『渡良瀬橋』では、ドラムだけじゃなく、ピアノ、リコーダーなど大半の楽器を彼女自身が演奏しているんですよね。

河野 そうそう。なんでもできちゃうんですよ。とにかく運動神経がいい。一度彼女とキャッチボールをしたことがあるんですが、彼女は「女投げ」にならないどころか、しっかり振りかぶって投げ込んできた。

中森 それはすごい。私よりキャッチボール上手いかもしれない(笑)。

 それにしても、今年でデビューから26年が経ち、森高さんももう43歳ですが、変わらないですね。

河野 本当に。2年前、久しぶりに会った時も、出会った頃のまんまでしたよ。見た目も若いし、立ち居振る舞いもまったく一緒。

中森 それってものすごく稀有なことですよね。長い間アイドルを眺めていてわかったのは、芸能界って「変わるのが普通」なところだということ。有名になってまともに付き合ってくれる人がいなくなったり、地元の友達に写真を売られたり、持て余すほどの大金を手にしたり、なかなか変わらずにいられない。だから普通の人は染まってしまって、ほとんどの場合ダメになる。

河野 わかる気がします。

中森 アイドル専門の芸能プロのマネージャーにどういう子が欲しいか聞くと、「友達いない子」とか「携帯電話持ってない子」とか言うんですよ。「そういう子のほうが続く」と。やっぱ変わった人がいいらしくて。

河野 確固たる自分を持っている子、ということでしょうね。

中森 はい。で、森高さんはデビューから、人気絶頂の20代も大過なく、スキャンダルゼロで結婚して、子どもを産んだ。さらに河野さんによれば、中年にさしかかった今も、まったく変わらないという。だから、森高さんって相当〝変な〟人なんだと思います(笑)。

河野 変でも何でも彼女みたいなオバさんなら、喜び勇んでドライブに連れ出しますよね(笑)。

「週刊現代」2012年5月26日号より