週現『熱討スタジアム』第15回『渡良瀬橋』『私がオバさんになっても』『雨』森高千里を語ろう

今週のディープ・ピープル 河野伸×中森明夫
週刊現代 プロフィール

中森 「私がオバさんになってもドライブしてくれる?」と、男の本音をズバリ突いてきた革命的な名曲ですね。それまでは文字通り男の「偶像」として、男の願望を守ってきたアイドルが、こんな歌を歌うんだから、ドキッとしましたよ。

 彼女の歌詞は実によくできている。本当に彼女が書いているのか、と疑念を抱いてしまうくらいです(笑)。

河野 大丈夫です。ちゃんと彼女が書いてますよ(笑)。

 ただ、この曲に関しては、元ネタがある。ビートルズに『ホエン・アイム・シックスティー・フォー(私が64歳になっても)』という曲があって、おそらく誰かが千里ちゃんに吹き込んだんだと思います。

中森 あぁ、スタッフがアドバイスしていたわけですね。納得です。

河野 はい。パロディともうひとつの、ナンセンスな言葉選びというのも、わかる気がします。『ロックンロール県庁所在地』('92年)みたいな歌詞ですよね?

中森 まさにそうです。これはすごい詞ですよ。

河野 はい、本当にびっくりしました。

中森 なんせ「北海道は札幌お次は札幌ラーメン」と日本全国の県庁所在地とその名物を羅列するだけの歌詞。小林旭の『自動車ショー歌』に近いところがありますが、県庁所在地はシャレにさえなっていない。ただの羅列で、何の意味もない。ものすごくナンセンスなのに、やけにポップだから覚えてしまう。

河野 この曲をつくったころ、私は千里ちゃんと全国全県ツアーというのをやっていたんですよ。で、彼女は白地図を用意して、行った県を塗りつぶしたりしていた。行く先々で
名物をもらったりするとそれもメモっていた。そこから発想したんじゃないかな。

中森 そういう裏話があったんですね。それにしても、こういうストレートすぎてナンセンスな歌詞は、プロフェッショナルであればあるほど出てこないものだと思います。

河野 入院した経験から生まれたという『ザ・ストレス』('89年)もかなりまっすぐです。「たまるストレスがたまる」とひたすらストレスについて、何のヒネリもなく語る。

確固たる自分を持っている子

中森 アサヒビールのCM曲『気分爽快』('94年)もそうです。サビで「飲もう」「とことん盛り上がろう」と気持ちいいくらいに直球。こういうシンプルな歌詞は、CMにぴったり。彼女の代表曲はCMとタイアップしていることが多い。

河野 たしかに今でもすぐ口ずさめるほどキャッチーなCMソングがたくさんあります。『ジン ジン ジングルベル』('95年)なんかも、サントリーのアイス・ジンのCMソングでした。