2012.05.16

[プロ野球]
森繁和×二宮清純<後編>「バッターは飛ばないボールで工夫せよ!」

『参謀』『天才たちのプロ野球』出版記念スペシャル対談
スポーツコミュニケーションズ

ドミニカはメジャーの草刈り場

二宮: でも、外国人獲得は普通、編成の仕事ですよね。少なくともコーチの仕事ではない。
: だけど、中日に来た時は海外の編成担当がなかったんですよ。監督に「なんで、こんなの連れてきたんだ」と言われたくなかったのか、なぜだか分かりませんが……(苦笑)。年俸は1億円まで用意してくれるというので、1000万円の選手を10人連れてきて、ひとりでも当たればいいという考えでしたね。ダメでもともと。そういう気持ちで現地に飛んで、最初に4人を連れて帰りました。年俸は全員250万円でした。

二宮: それはかなり安い買い物ですね。
: まぁ、ほとんど活躍できませんでしたけどね。そもそも現地に行ってもツテがないので球場のなかに入ることすらできない。球場で視察しているのはメジャーリーグのスカウトばかりで日本の球団のスカウトは皆無でしたからね。

二宮: 日本ではカープが最初に目をつけて、アカデミーをつくりましたが、近年はあまり機能していないようですね。
: 環境は良くて設備もしっかりしているのですが、グラウンドは草がボーボー生えている状態です。僕が行った時にはピッチャーが10人くらいしかいませんでしたね。選手よりもニワトリとか羊とか、動物がうろちょろしているのが目立つくらい……。今のドミニカは、いい素材をメジャーリーグの各球団が大金を出して獲得していくので、カープアカデミーにやってくるのは、どうしてもそこからこぼれた選手ばかりになってしまいます。

二宮: そんななか、どうやってドミニカで人脈を築いたのですか?
: 球場周辺をブラブラしている時に会った日系人の方との出会いがきっかけです。その時、初めて知ったのですが、ドミニカには日本からの移民もたくさんいたんですね。たくさん土地がもらえるというので喜んで行ったら、塩混じりの大地で全く作物が育たない。かなり苦労されたという話を現地で聞きました。その方に「何かあったら電話しろ」と助けていただいて、徐々に知り合いが増えていきました。

二宮: 西武や巨人で活躍した“マルちゃん”ことドミンゴ・マルチネスの存在も大きかったそうですね。
: 彼は僕が西武のコーチをしてきた頃に日本にやってきました。マルちゃんとコンタクトを取って球場にも入れるようになりましたからね。ドミニカの球団オーナーや社長、GMといったところも紹介してもらった。06年からはスカウトも担当してもらいましたよ。一度、選手を獲得すると、“また日本に連れて行ってくれるんだろう?”と、こちらからお願いしなくても、たくさん選手を紹介してくれる。それで、やってきたのがブランコやネルソンというわけです。

二宮: これだけパイプをつくれれば、現地で代理人ビジネスをして、メジャーや日本に選手を売り込むのもおもしろいのでは(笑)?
: ちょっと考えたこともありますよ(笑)。ドミニカには本当に素晴らしい選手がたくさんいます。メジャーはほとんどの球団がアカデミーをつくっているほどです。

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