週現スペシャル知らないのは患者だけ
怖くて書けない「病院の裏側」

週刊現代 プロフィール

製薬会社との危ない関係

 病院や医師に入るグレーマネーといえば、製薬会社から流れる金もそうだ。

 今年4月、製薬会社225社からなる医療用医薬品製造販売業公正取引協議会は、医師への接待は上限2万円までという自主規制を発表した。しかし、「実態は変わらない」と言うのは大手製薬会社のMR(医薬情報担当者)だ。

「これまでも何度も規制があったけれど、結局はうやむやで、実態は変わっていません。でも、露骨な接待なんてドラマの世界の話で、実際はもっと巧妙にやっている。製薬会社の社員は同席せずに、医者に好きなように飲み屋で遊んでもらい、ハイヤーで帰ってもらう。そのすべての領収書は製薬会社に回ってくる、というようなルートが確立されていることがほとんどです。

 医者の側も、露骨に『この会社のこの薬を使え』と言うと癒着疑惑を持たれるから、そんなことはしない。新薬の説明会の際、製薬会社は、病名ではなく症状緩和の話をします。たとえば、この薬はだるさに効くと言えば、だるさを伴うすべての病気にあてはまるので、薬のターゲットが増える。そこで力のある先生が実例を挙げて、患者にこんな効果があったなどと言ってくれれば、その薬の使用量が飛躍的に上がるという仕組みです。そのためにも、接待は欠かせません」

 医者不足も医療現場の状況を悪化させている。前出の本田医師が語る。

「救急医、麻酔医は日常的に不足しているし、抗がん剤治療を専門とする腫瘍内科医もほとんど育っていません。そのため、少ない医師が常軌を逸したハードワークをこなして、どうにか現場を回している。日本の勤務医は32~36時間連続労働が日常で、6~7割の医師は徹夜明けでも手術をやってきました。

 この4月から、当直明けの手術をなくしたら診療報酬が上がるように改定されましたが、肝心の医者は増えないのだから、人手不足がいっそう深刻になり、手術待ちの患者が増えるだけの悪循環なのです」

 病院の裏側に広がる闇は、とことん深い。

「週刊現代」2012年5月5・12日号より