週現スペシャル知らないのは患者だけ
怖くて書けない「病院の裏側」

週刊現代 プロフィール

「意外と小児科を掲げている開業医が多いですが、小児科の専門医は少数です。ではなぜ小児科を掲げるのか。小児科の診療科を届け出れば診療点数が優遇され、儲かるからなんです。ですが、追加で検査などをすると赤字になってしまうので、診察はするけど検査は他でやってくれ、という病院が多い。小児科の専門医から『看板だけの標榜医の診察は間違いが多い。小児科を分かっていない医者ばかり』という声もよく聞きます」(千葉県の開業医)

 脳外科医も、患者が多くて儲かるために、専門医でないのに看板を掲げている医師が少なくないという。

 現行の制度では、入院日数が長引くほど診療報酬は下がり、在宅復帰率が上がると診療報酬も上がる。これは、医療費を抑制したい厚労省の意図が反映されているのだが、その結果、医療差別が生まれている。

「重症患者や糖尿病、心臓病など合併症がある患者が多いと、どうしても入院日数は長くなるし、在宅復帰率が下がる。だから、そうした患者を受け入れたがらない病院が出てきます。認知症患者も同様で、治療やケアに手がかかるため受け入れを嫌うのです」(埼玉県済生会栗橋病院・院長補佐の本田宏医師)

 厚労省が導入を検討し、'03年から公立病院や大学病院などですでに試行されている「包括医療制度」(DPC)も、医療現場に圧力をかけている。この制度では、個々の患者の病名や重症度で、支払われる報酬額が決定されるのだ。

「DPCの導入時点では、病院が損をしないような金額設定でした。ところが足並みが揃ったところで、病院の収入が減るように、設定を変えることも可能なシステムなんです。日本の胃がんの入院や手術料金は、米国の盲腸程度ですが、今後はさらに抑制される危険性もあるのです。DPCを導入すると、支払い額が決められるから、赤字にならないように必然的に医療や検査も節約されます。本来は必要な検査でも、それを行うと赤字になるということも実際に起こっています」(同前)

 必要な検査や治療が省かれていることもあるかもしれない。病院側としては、合併症も起こさず、治療をしたらすぐに治って退院してくれる患者や、透析のように収入源になる患者こそが「良い患者」なのだ。

 大学病院など研究機関と連携している病院の場合は、もう一種類、歓迎する患者がある。研究対象になる患者がそれだ。

 去る3月、慶応大学医学部は、呼吸器外科の教授らが肺がんの研究のために、がん患者ら31人の骨髄液を無断で採取していたと発表した。

「患者は知らないうちに教授らの研究の実験台にされていた。これは、研究成果を発表することで、研究費や助成金が下りてくるからです。名前も売れるし、出世に必要な業績にもなる。これが表沙汰になったのは、内部告発があったからのようですが、ウラを返して言うと、内部告発がなければ闇から闇の可能性もあったということでしょう」(都内総合病院内科医)