第2回はこちらをご覧ください。
ニーチェについて簡単に説明します。
ニーチェは一八四四年にプロイセン(今のドイツ)で生まれました。
幼少期から才覚を示したニーチェは名門のプフォルタ学院に進み、ボン大学で古典文献学の権威フリードリヒ・ヴィルヘルム・リッチュル(一八〇六~一八七六年)に師事します。その後、リッチュルの推薦により、二五歳の若さでスイスのバーゼル大学の古典文献学教授になりました。当時のニーチェは博士号も教員資格も取得しておらず、異例中の異例の抜擢でした。つまりニーチェは、世の中から天才として扱われていた。その後、体調を壊したこともあり、大学の教員を辞め、スイスやイタリアを周遊しながら執筆活動を進めていきます。
一八八九年に発狂。一九〇〇年八月に肺炎で亡くなります。
『ツァラトゥストラ』は、この周遊生活の中で書きあげられました。
「ツァラトゥストラ」は、ゾロアスター教の開祖ザラスシュトラ(紀元前一一世紀~紀元前一〇世紀頃)のドイツ語読みです。英語で読むと「ゾロアスター」になります。
しかし、ゾロアスターの思想とニーチェの哲学は関係ありません。
ゾロアスターと『ツァラトゥストラ』の主人公であるツァラトゥストラは別人です。
19世紀の終わり、ニーチェはこの先、2世紀がニヒリズムが徹底されていく過程と予言しました。その予言は的中。あらゆる「真理」の根拠を失った近代人 は、ますますおかしな袋小路に閉じ込められるようになりました。政治やJポップ、グルメ、経済などを素材に、「なぜいまの世の中はおかしいのか」を明らか にしていきます。B層=近代を妄信するバカの行動パターンを分析することで、今の時代の病を浮き彫りにします。