今の世の中はおかしいと思いませんか?
私はおかしいと思います。
でも、その「おかしさ」は簡単に修正できるようなものではありません。
なぜならそれは、歴史的、思想史的に発生した大きな変動の上に存在しているからです。
一九世紀ドイツの哲学者フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ(一八四四~一九〇〇年)は、世の中がますますおかしくなっていくことを予言しました。
「私の物語るのは、次の二世紀の歴史である。(中略)この未来はすでに百の徴候のうちにあらわれており、この運命はいたるところでおのれを告示している」(『権力への意志』)
それではわれわれの時代の一番の問題はなにか?
それはなにも信じることができない時代になったということです。
価値の根拠があやふやになってしまったということです。
その原因は《神様》が引っ越ししたことにあります。
一七世紀から一八世紀にかけて《神様》が座っている位置が変化したので、われわれ人間もなんだかそわそわしているということです。
ニーチェは「神は死んだ」と言いました。
漫画の『ドラえもん』にも登場するくらい有名な言葉なので、哲学に興味がない人でも小耳に挟んだことがあるかと思います。
でもその言葉の意味となると、正確に理解している人は少ない。
19世紀の終わり、ニーチェはこの先、2世紀がニヒリズムが徹底されていく過程と予言しました。その予言は的中。あらゆる「真理」の根拠を失った近代人 は、ますますおかしな袋小路に閉じ込められるようになりました。政治やJポップ、グルメ、経済などを素材に、「なぜいまの世の中はおかしいのか」を明らか にしていきます。B層=近代を妄信するバカの行動パターンを分析することで、今の時代の病を浮き彫りにします。