文/舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)
宮里藍がハワイで開催されたLPGAロッテ選手権で米ツアー8勝目を挙げた。
かつて米ツアー参戦を開始したころの彼女は、しばしば涙に濡れていた。言うまでもなく、悔し涙。それが今では余裕の笑顔でウイニングウォークをするベテランの域に到達している。
そんな宮里を眺めていたら、思い浮かんだのは、こんな言葉。
「ローマは1日にしてならず。初優勝は1年にしてならず」
そう、宮里の初優勝は1年どころか、2年、3年経ってもならずだった。おまけに、どん底のスランプに陥り、泣きながら途中棄権までする事態へ発展。
06年の米ツアー参戦開始当時は常に宮里を取り巻いていた山のような日本メディアは、そのころには激減し、彼女の露出もすっかり減った。
だが、どん底から復活し、09年にエビアン・マスターズで初優勝を果たした宮里は、10年には年間5勝、11年は1勝、そして今年も、まず1勝。
米ツアー参戦7年目で通算8勝。平均すれば1年に1勝以上。その昔、男子の尾崎直道が米ツアーに8年間参戦し、「直道さんの8年を抜くのが目標」と言っていた丸山茂樹が9年間参戦したことを思うと、宮里の7年目という滞在期間は、誰にでもできることではない長さになりつつあり、毎年1勝以上という戦績も、そうそうできるものではない。
宮里が続けてきていることは、すでに偉業と呼んでいい。