「ぼっち」になるのはネット上でも現実と同様に気分が落ち込む!

 最近の若者は孤独になることを以前の世代よりも嫌うようで、一人ぼっちになることを「ぼっち」と略し「ぼっち飯」「ぼっち映画」など、結婚しないOLの自分の満足感を優先した生き方を表現した「おひとりさま」とは逆に、寂しさを強調する表現も生まれ、しばしば使われるようです。

 さて仲間はずれにされることは、集団に帰属することで社会生活を営んできた人間にとっては、本能的に恐怖を感じる状況ですが、こうした存在を無視されたり、仲間はずれにされた「ぼっち」状況が、現実の対人関係だけではなく、ネット上の関係、Facebook、mixi、Twitterなどソーシャルネットワークサービス(SNS)上の関係で生じても、実際の人間関係と同様に心が傷つくことが、米国・ペンシルベニア州立大学のJoshua Smyth教授らがComputers in Human Behavior 2012年3月8日オンライン版に発表した研究で明らかになりました。

 教授らは最初の実験で、275人以上の学生を対象に「周囲の仲間との会話の中で無視される経験をする」というシナリオを読み、直接生身の人間が会話している状況の場合とネット上でのチャットルームでのやり取りに参加している場合と、2つの状況において仮に自分がそうなったらどう感じるかについて質問されました。

 結果は、どちらの場合にも傷つき、自尊心が低下するだろうという解答が多いことがわかりましたが、ネット上でよりも、直接面と向かっての無視のほうが辛そうだと答えたものが多数でした。

 次に何も知らされていない学生77人を2グループに分け、Aグループは直接別の学生と面と向かって、Bグループはネット上のチャットルームに参加して、それぞれ「自己紹介して会話しながら互いを知りあう」という課題を遂行する実験に参加させ、その状況の中で実験協力者の学生から無視され、仲間はずれにさせられる体験実験を行いました。

 77人の学生の反応を分析した結果、直接面と向かっての無視も、チャット上での無視も、同レベルの同じような反応を引き起こしていましたが、教授らの予想に反して、最初の実験で生じた想像上の無視で感じたストレスよりも、第2の実験の現実の状況で感じたストレスのほうが弱く、心が激しく傷つくと言うよりは、むしろ引きこもってしまう、というような心的状態になることが明らかになりました。

 この結果について、今回の実験対象の学生はネット世代であり、生育環境の中でネット上のやり取りをしながら育ったことから、こうした結果が出たと考えられ、もっと上の世代では、また違った反応が出る可能性があるのではないかとしています。

 医療ジャーナリスト 宇山恵子
Computers in Human Behavior 2012年3月8日オンライン版