[サッカー]
酒井宏樹(柏レイソル)<前編>「自信が生み出す高速クロス」

スポーツコミュニケーションズ

手応えをつかんだゲーム

 迎えた昨季、第7節大宮アルディージャ戦(4月23日)に先発しJ1デビューを果たすと、第8節甲府戦(4月29日)ではプロ初アシストを決めた。

 0-1とリードされて迎えた後半14分 右サイドを攻め上がり、パスを受けると、アーリークロス気味にボールを入れる。ボールは相手の2選手を越えてから高度を下げ、ニアサイドで待つ田中順也の頭にピタリと合った。
「いいボールが蹴れたと思います。アシストにもなったので、ここからクロスにすごくいいイメージを持てるようになりました」

 手応えを感じたクロスがもう1本ある。第10節の浦和戦(5月7日)だ。前半1分、酒井はピッチ中央右サイドでボールを受け、そこから前方にいた味方に縦パスを送る。そして、大きなストライドで右サイド前方のスペースへ走り出す。再び受けたボールをダイレクトでゴール前に送ると、これを北嶋秀朗がニアで合わせた。

「キタジ(北嶋)さんは、どんな難しいボールでも合わせてくれる感じがします。こういう選手がいてくれるから、思いきってクロスを上げられる。甲府戦と浦和戦でアシストできたことで、J1でも自分のプレーができるという手応えを得ましたね」

 ゴールを決めた北嶋は、酒井に自信が出てきたと感じていた。
「もともと才能がすごくありますし、能力も高い選手です。ただ、どうしても自分に自信を持てていなかった。それが今季(※11年)から試合に出続けて、結果も出している。いいプレーができていることで、少しずつ顔が上がってきた。自信の表れでしょう」

 プロ1年目のブラジル留学で、酒井は自らに合った自分のポジションと武器を手に入れた。そして2年目からは試合経験を重ね、結果を残すことで徐々に自信を持てるようになった。
「今はチームも勝っているので、自分のプレーに自信を持てている。クロスに関しても、自信がないといいボールは蹴れないですからね」

 そして、今や酒井宏樹のクロスには、自信がみなぎっている。さらに自信を勝ち得ていった時、酒井はどのようなクロスを、その右足から解き放つのか。彼が右サイドを駆け上がる姿からますます目が離せない。

(後編につづく)

酒井宏樹(さかい・ひろき)プロフィール>
1990年4月12日、千葉県生まれ。柏マイティー、柏レイソルU-15、柏レイソルU-18を経て、2009年に柏のトップチームに昇格。1年目の途中にブラジルへ短期留学。09年は公式戦出場がなかったものの、柏がJ2の一昨季、リーグ戦9試合に出場し、1得点。迎えた11年シーズンは4月に初先発を果たすと、27試合で7アシストと活躍。右サイドバックとしてJ1初優勝を目指すクラブを支えた。また、ロンドン五輪出場権を獲得したU-23日本代表でも主力を担い、同年10月にはA代表に初選出された。積極的な攻撃参加と、精度の高いクロスが武器。身長183cm、体重70kg。背番号4。

※この原稿は2011年11月に執筆したものです。
(鈴木友多)

編集部からのお知らせ!