[サッカー]
酒井宏樹(柏レイソル)<前編>「自信が生み出す高速クロス」

スポーツコミュニケーションズ

ポイントはがに股で蹴る

 そして、技術面でも本人も気づかぬうちに最大の武器をブラジルで習得していた。それは、今や彼の代名詞とも言える“高速クロス”だ。現在、酒井の特徴を語るうえで、このクロスを抜きにすることはできない。
「クロスは本当に、感覚で上げているんです。“今ならいいボールが上げられる気がする”、“あの辺に上げたいな”というふうに。それに、味方に合わせるというより、DFがクリアしづらいクロスを心掛けているので、味方が合わせやすいと思っているのかはわかりません(笑)」

 酒井のクロスは弓で矢を射ったように直線的な軌道を描くかと思いきや、ゴール前で急激にボールがグンと落ち、味方にきれいに収まる。それに、速い。“高速クロス”の秘密は特徴的な蹴り方にあった。
「クロスボールを蹴る時は、足を開き気味にするんです。がに股って言うんですかね。僕の場合、この蹴り方でないと速いクロスを上げられない。ボールが斜めに回転するように強く擦り上げるんです」

 しかし、フィードボールなどクロス以外の蹴り方は、足を開かずに真っ直ぐ振り切る。ブラジルで “がに股クロス”を身につけたきっかけはどこにあったのか。
「ブラジルで右SBにコンバートされてからですかね……。実は正確にはわからないんです。特に蹴り方を変えたということもなく、自然に今の蹴り方になっていたので」

 最大の武器を手土産に、酒井は09年11月に柏へと戻る。だが結局、その年は公式戦に出場することはなかった。加えて、柏がJ1で16位に沈み、J2降格の憂き目に遭う。

 ただ、翌年のJ2での1年間で、酒井は飛躍のきっかけをつかむことになる。

(c)KASHIWA REYSOL

 第11節(5月5日)のヴァンフォーレ甲府戦でプロデビューを果たすと、その後、第19節(7月25日)のジェフ千葉戦で初スタメンを飾る。第32節(10月31日)の水戸ホーリーホック戦ではプロ初ゴールもあげた。結局、この年は天皇杯も合わせて公式戦12試合に出場、チームも1年でのJ1復帰を果たした。
「10年のシーズンがあったから今があるのかなと感じますね。ベンチからよく試合を見させてもらえたし、少し試合にも出してもらえた。さらにチームがJ2で優勝してJ1に昇格するところを見て、“もっと試合に出ないといけない”と思いました」

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