衝撃データ その病院で「心臓の手術」をしたら、死にます 学会のアンケートで判明。安心できる医者は全体のたった6%

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 逆に言えば、年間6万件の心臓外科手術が行われるとして、少なくとも一人年間100件やれば、専門医は500人もいれば十分です。私の実感では、プロとして本当に頼れる専門医は全国で100人くらいしかいないと思います」

 心臓外科医1814名中100人。割合にして6%しか本当に頼れず、残り94%が頼りにならないというのである。先に石岡氏が挙げた「信頼できない病院が85%」という数字より、さらにシビアだ。

厚労省も問題視する惨状

 ふだんは事なかれ主義の役所さえ、さすがにこの現状はまずいと思ったのか、厚生労働省は昨年10月、「専門医の在り方に関する検討会」をスタートさせた。

 その理由について、厚生労働省医政局医事課の植木誠・医師臨床研修推進室長が説明する。

「これまで専門医制度の症例数や経験など、専門医の質を担保する資格は学会に任せてきました。しかし、学会の自主性に任せた専門医制度では、医師全体の質を維持することが難しいという判断で設立しました」

 これ以上、学会には任せておけないということだろう。では、専門医認定機関である「心臓血管外科専門医認定機構」はどう答えるのか。今年1月まで同機構の代表幹事を務めていた幕内晴朗・聖マリアンナ医科大学病院長(心臓血管外科教授)が言う。

「心臓手術ができると謳っている病院は942施設ありますが、実際に手術をしている病院は、それよりずっと少ないでしょう。『心臓血管外科』という看板は、診療科の自由標榜制と言って、手術をやっていなくても出せるからです。

 患者さんにとっては、心臓血管外科の看板があるからと言って、実際に手術をしているのか、また安心できる病院なのかは区別ができない。だからこそ、認定機構を作り、466ヵ所を『認定修練施設』(年間50例以上の手術をする施設)にしたわけで、病院を選ぶ際には機構の『認定修練施設』かどうかを調べてから、受診してほしい」

 すでに見てきたように、個人でも「最低で年間100例以上」が、国際標準という指摘がある。「年間50例」で「認定修練施設」という基準は甘すぎないのか。幕内病院長に聞いた。

「確かに、症例数が少ない施設は問題ですし、心臓血管外科の看板を掲げている施設や、専門医が多すぎるという指摘はその通りだと思います。機構としても、手術の質を高めるために専門医の認定基準の引き上げを検討しており、個人的には『認定修練施設』も300施設ぐらいに集約してもいいのではないかと考えています。

 ただし、急に基準を厳しくして、心臓病を診る病院や専門医が少なくなれば、大混乱になってしまう。地方では心臓血管手術ができなくなり、助かる人も助からなくなるデメリットがある。今は専門医の質を高めるため、集約化する方向に段階的に動いているのです」