衝撃データ その病院で「心臓の手術」をしたら、死にます 学会のアンケートで判明。安心できる医者は全体のたった6%

週刊現代 プロフィール

手術件数に反比例する死亡率

 元NHK記者で、自身も心臓弁膜症手術を受け、心臓外科分野に詳しいジャーナリストの石岡荘十氏は、アンケート結果について次のように分析する。

「アンケートを行った日本胸部外科学会は、心臓外科分野で一定レベルに達するためには年間100例以上の手術を行う必要があると言っています。そして、年間100例以上をクリアした332病院を『基幹病院』と認定しています。ところが、アンケート結果を見る限り、とてもそれだけの数の病院が、年間100例をクリアしているとは思えません。『虚血性心疾患』は心臓病患者全体の3分の1を占めると言われますから、単純計算で年間35件以上の手術実績があれば、心臓病全体で年間100件をクリアできると考えられます。その基準でアンケート結果を分析すると、実に85%の施設が実績不足で、信頼性に疑問符がつく施設ということになる」

 今回のアンケート結果からはもう一つ、重大な事実が読み取れる。石岡氏が指摘する。
「一般的に『虚血性心疾患』の手術の平均死亡率は2%以下と言われます。確かに、アンケートで年間100件以上の手術をやると回答した10施設を見ると、8施設が死亡率ゼロ、他の2施設も死亡率は1%台に留まっています。

 逆に手術件数の少ない病院を見ると、たとえば年間5回しか手術をしていない病院では20%、6回では16・67%、7回で14・29%、8回で12・5%となっている。つまり、手術数の多い病院ほど亡くなる患者は少なく、手術数が少ない病院ほど亡くなる患者の割合が高いという傾向がはっきり出ているわけです」

 心臓血管外科専門医の資格は、日本胸部外科学会、日本心臓血管外科学会、日本血管外科学会の3学会で作る「心臓血管外科専門医認定機構」が認定している。5年ごとに更新される専門医の認定を得るには、術者として最低50例以上の手術を行うことが義務付けられている。断っておくが、これは年間の手術件数ではない。機構が定める「認定修練施設」で3年間のうちに50例以上であり、あとは筆記試験に合格すればよい。

 ちなみに、心臓血管外科手術は年間約6万件行われており、心臓血管外科専門医一人あたりの年間手術実績は、平均33例。1ヵ月あたり2・7件となる。天皇の執刀医である天野医師や前出の南淵医師などは、年間約200件の手術を手掛けるから、平均33例がいかに少ないかがわかる。

「最低でも年間100例の手術経験が必要」と語る南淵医師は、その根拠について次のように説明する。

「年間100件というと3・6日に1件、1週間に2件というペースです。それ以下では手術の腕が上達するどころか、確実に鈍る。ましてや年間10件程度、つまり1ヵ月に1件以下の手術しかしない医師には、メスを握らせること自体、恐ろしい。

 海外では年間300件以上の手術をする専門医がたくさんいます。むしろ、年間100件以下の手術数なんて専門医がいたら病院からお払い箱。年間100件とは、そういう最低限の数字なのです。