[虎四ミーティング]
錣山矩幸(元関脇・寺尾)<前編>「細身でも強かった理由」

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力士は丼もの好き

二宮: 力士は食べることも仕事のひとつです。食事で真っ先にイメージするのはちゃんこ鍋ですが、牛丼の思い出は?
錣山: 子供の頃、部屋の近くに牛丼屋さんがオープンして、父親と一緒に食べに行ったことを覚えています。オープン特価で1杯150円だったので、1000円出して6杯注文しました。すると父親は1杯食べただけで、「オマエがあとは全部食べろ」と。残りの5杯は僕が全部平らげました。小学校4、5年の頃だったと記憶しています。

二宮: 現役時代に食べる機会は?
錣山: 新弟子時代は、よく食べましたね。お正月になると、たいていの食べ物屋さんが閉まっているので、牛丼屋さんばかり行っていました。丼ものはすぐ食べられるので、ありがたかったですよ。

二宮: 力士の食生活は一般の方とは大きく異なります。一日の食生活は?
錣山: 朝稽古をして、昼前から鍋を食べる。そして夕食は普通の食事です。場所中だと、取組前にたくさんは食べられないので、昼は普通の食事で夜に鍋を食べるパターンになります。ただ、どうしても夜、寝る前にお腹が空く。だから、丼ものを食べている若い衆は多いと思いますよ。

二宮: 相撲界は上下関係がしっかりしているので、ちゃんこも番付順だと聞きます。新弟子や番付の低い人間は残りものしか食べられないと?
錣山: そうですね。親方や関取は朝稽古が終わって11時30分から12時くらいから食べられますが、下の者は1時から2時になってしまう。そして夜も場所中だと関取が取組から帰ってくるまでは食べられません。今は全員が食べられる量を多めに用意しますけど、僕の現役時代は、鍋が空っぽになってしまうこともありました。卵を買ってきて、自分でゆで卵をつくってご飯と一緒に食べていましたよ。“あぁ、もっと番付をあげて、おいしいものを食べたいな”と思ったものです。

二宮: ハングリー精神が育てた側面もあるわけですね。最近はコンビニも増えて、夜食代わりにお菓子や炭酸飲料を飲んでいる力士も増えているとか……。
錣山: たからウチの部屋は基本的にお菓子、ジュースは禁止にしています。そうしないと隠れて食べたり、飲んだりするヤツが出てくる。これを許してしまうと、まともな力士ができませんよ。まず、ちゃんこをしっかり食べる。それでもお腹が減って夜食を食べるのはOK。でも、おやつを食べて、ちゃんこの量が減ってしまうのは論外です。