オーガスタへの愛というものは、もしかしたら伝染するのだろうか。そう思える3日目だった。
3日目はスコアや順位が大きく動く「ムービングデー」と呼ばれる。いや、「動く」のではなく「動かす」日だ。
2日目に首位に立ち、マスターズ史上最年長優勝が期待された52歳のフレッド・カプルスは75とスコアを落とし、11位タイへ後退。自身の初優勝をかけたジェイソン・ダフナーも同じく75で11位タイへ後退した。
代わってリーダーボードの最上段に浮上したのは7アンダー、65をマークし、通算9アンダーとスコアを大きく伸ばしたスウエーデンのピーター・ハンソン。2位に浮上したのはフィル・ミケルソン。24位タイから6位タイへ浮上したハンター・メイハンの動きもビッグムーブ。
驚くなかれ、彼らは予選2日間を同組で回った3人なのだ。
「フィル以上にオーガスタを愛している選手を僕は知らない」
そう言ったメイハンは、マスターズチャンプに3度も輝いたミケルソンのとっておきの秘話を、ちょっぴり苦笑しながら説明してくれた。
「フィルはグリーンジャケットを着て飛行機に乗り、グリーンジャケットを着てオーガスタのゲートをくぐって、ここに来たんだ」
オーガスタナショナルのメンバーなら、大会中、常にグリーンジャケットを着ていてもおかしくない。が、グリーンジャケットを着て大会にやってくる現役出場選手は、確かにミケルソンだけだろう。