だからプロ野球は面白い 中日・森繁和元ヘッドコーチが初めて明かす 「参謀」---落合博満は何が違うのか

週刊現代 プロフィール

「あっ少ねえか」

「いやいや、そんなにもらっていいんですか」

 監督に言われた金額は、相場の倍、かつて西武で勝ち続けたときとあまり変わらないくらいの額だったから驚いたのだ。監督にはコーチの経験もなかったから、コーチの給料の相場など全然知らないのかと思ったら、そうでもなかった。

「バカ野郎、おまえが自宅から通えるなら○○万でもいいだろうけど、単身赴任で二つ家持って、あまり家に帰れなくなる責任ってのはオレにあるんだから、普通の倍が妥当だろう」

 こうまで気を配られては、もう監督のためにやるしかない。

 現役時代には、年俸交渉でとことん粘り、時に故なき批判をされながらも、後の選手の地位向上につとめ、監督となっても、コーチ、そして選手の地位向上につとめる落合監督は、やはり、球界の発展を考えた凄い人物というほかないのではないか。

 監督は私と違って、2012年のシーズンはプロ野球界とは距離を置いている。

「どう勝とうか考えないでいいのが、こんなに気持ちがラクだとは思わなかったよ」

 などと言っていたのだが、やはりドラゴンズの選手のことは気になるようだ。

「監督、新人の西川健太郎、あれはおもしろいですよ。案外早く出てくるかもわかりません」

「そうか、やっぱりそうだよな」

 西川というのは、星稜高校から2位で入った右ピッチャーである。2011年のドラフト前、監督と資料を見ていてこれはおもしろいピッチャーだと、意見が一致したキレのあるピッチャーだ。

 監督も早くも野球好きの虫がうずき出している感じなのである。

「週刊現代」2012年4月14日号より