だからプロ野球は面白い 中日・森繁和元ヘッドコーチが初めて明かす 「参謀」---落合博満は何が違うのか

週刊現代 プロフィール

「それで決めるんですか?」

「だって、おまえが、どちらかって言うとき、だいたいもう決まってんだろ?おまえが言うんだから」

「まあ、気持ち的には山井で決まってますが。でも・・・・・・ジャンケンしてみましょうか」

選手との食事は事前に報告せよ

 その日は、ピッチャーも谷間なので「きょうは誰?誰が投げるの?」と、どの投手も球場入りから興味津々。もう、みんな当日まで誰が先発なのかわからない。

 私は彼らに聞かれるたびに、「おまえだよ、先発はおまえ」などと、みんなに言っておいたりする。

 さて、その日、試合前の練習が終わってゲーム前にみんなが軽く食事する、そのミーティングの前に、

「おい、山井と長峰!ちょっと二人来い。ジャンケンしろ」

「・・・・・・はあ?」

「先発な」

 で、山井がめでたくジャンケンに勝った。そこで山井に、「よし、先発」と言ったけれど、もしあれで山井が負けていたら、

「お、長峰、チャンスだぞ。こいつ3イニングしか持たないから、勝利投手、おまえに権利ある」

 と言おうと思っていた。ジャンケンの前に「勝ったら先発」と言わないところがミソだ。そうしたら山井が勝ったので、「よし、行くぞ」となり、そういうゲームで、山井がきっちり勝ったことがあったのだ。

 監督にはあとでこう言っておいた。

「ジャンケンさせて山井が勝ちましたから、山井先発で行きますよ」

「負けてたら?」

「わかってるでしょ?」

「そうだな、やっぱりな」

 たまにはこんな感じになることもある。

 ふざけて遊んでいるようだが、監督は私がほぼ山井で行くと決めているのに、どこか踏ん切りがつかないのを感じ、ジャンケンを持ち出したのだとあとで気づいた。