だからプロ野球は面白い 中日・森繁和元ヘッドコーチが初めて明かす 「参謀」---落合博満は何が違うのか

週刊現代 プロフィール

 選手だけではなくて、我々コーチ陣に対しても、裏方に対しても、目配りというか、気配りをする。まったく動いていないようで、必ず何か見ている。

 在任8年間でリーグ優勝4回。「現代の名監督」の名をほしいままにしながら、落合博満前中日ドラゴンズ監督は昨年、突如解任された。

 落合氏が監督に就任した'04年から一貫して、「参謀」として落合中日を支え続けたのが、森繁和前ヘッドコーチだ。その信頼は厚く、落合氏には「またユニフォームを着るなら必ず森繁和を呼ぶ」と言わしめる。

 西武、日本ハム、横浜そして中日と渡り歩いた、コーチ歴23年の森氏が、落合采配の秘密と自身の培ってきた「参謀の心得」を初めて明かす、『参謀---落合監督を支えた右腕の「見守る力」』(講談社)を著した。

 監督は2003年、秋季キャンプでチームが始動してすぐに、コーチ陣を全員集めて、こう言った。

「チームの情報は絶対に漏らさないでほしい。いいことだろうと悪いことだろうと、それがこのメンバーの中で出るようだったら、いっさい一緒にはできないからな」

 監督は最初から、そういう情報が監督の耳に入った時点で、一緒に野球はできないよ、つまりクビにすることもありうるよ、と宣言しているのだ。

 情報管理といえば、岩瀬(仁紀)のことが象徴的だろう。

 実は8年間で10回ほど、抑えの岩瀬を、登録抹消していないのに球場に呼ばなかったことがある。連投が続いたあと、あるいはちょっとした「違和感」を岩瀬が訴えたときなどである。岩瀬はわりあい早めに大事を取る傾向にあるのだが、本人がそう言ってきたら必ず、

「じゃあ明日は、休んでくれ」「病院に治療に行ってこい」

 と本人の言葉を尊重した。ただし、もちろん岩瀬がストッパーとして控えていないことは全力で相手チームから隠した。わざと一旦球場に姿を見せさせておいて、誰にも知られないように帰したこともある。

 岩瀬不在がバレたことは一度もないはずだ。

ジャンケンで決めろ

 情報漏洩を許さない、特例は作らない、だから8年間、中日は上位にいたのだと思う。

 ただし、あまりにこの方針を徹底したことが、優勝したシーズンに、(正確には優勝しそうな状況で)監督はじめわれわれ首脳陣が8年間で契約満了で退団したことにも繋がったのだろう。