Closeup 中島裕之(西武)「ヤンキースと交渉決裂」本当の理由

フライデー
守備も安定しており、遊撃手として’08年と’11年の2度ゴールデングラブ賞を受賞している

 こう屈託なく笑う中島だが、ポスティングによる移籍を表明した昨年11月からは、マスコミに多くを語っていなかった。

「何かイベントがあるたびに、メディアの方から『どうなっているんだ』と聞かれるんです。最初は『何か決まったら言いますよ』と対応していたんですが、毎回同じことばかり質問されて、ちょっとうんざりしてしまって・・・。それに変なことをしゃべると、メジャーとの交渉が不利になることもあるでしょう。あえてマスコミから隠れていたんです」

 中島がメジャーに憧れるようになったのは、’09年のワールド・ベースボール・クラシックで、海外の一流選手たちのプレーを目の当たりにしてからだった。中島との交渉権を獲得したのは、そうした名プレイヤーが数多く在籍する名門ニューヨーク・ヤンキースだった。

「『すげー!!』という感じです。デレク・ジーター(37)やアレックス・ロドリゲス(36)、ロビンソン・カノー(29)ら、超一流選手がいるチームですよ。そんなドリームチームが、僕の獲得に手をあげてくれたんです。本当に嬉しかった」

 ヤンキースの落札金額は250万ドル(約1億9500万円)。中島へは年俸80万ドル(約6160万円)が提示されたが、これは昨季の年俸(2億8000万円)の4分の1以下だ。一部では、この年俸の低さが破談の理由と報道された。

「それは違います。本当に、金額はナンボでも良かった。こちらが払ってでも、憧れのヤンキースのユニフォームを着たかったくらいです。年俸は2億円以上減るわけですが、そのおカネで勉強させてもらうという感覚でした」

 だが交渉の過程で変わった契約条件が、中島の考えを変えさせることになる。

「最初は、1年契約という話だったんです。スター選手揃いのチームですから常に試合に出られるとは思っていませんでしたが、ジーターやA・ロッドのプレーを間近で見られれば自分にとって大きなプラスになるはず。1年間ベンチでしっかり勉強して、交渉をやり直そうと考えていたんです。ところがヤンキースが、僕の保有権を6年間持ちたいと言い始めた。6年後だと、僕は36歳です。そんな年齢まで下積み生活を送るのは、ちょっと厳しい・・・。代理人からも、こう説得されました。『あと1年で海外FA権が取れるんだから、この条件で無理して入団する必要はない』と。僕も『その通りや』と納得し、移籍を断念したんです」

史上初の2年連続〝二桁犠飛〟

 中島は現状維持の年俸で、再び西武と契約。チームメイトは彼を温かく迎えた。「渡辺(久信、46)監督からも、再契約の前日に『あと1年一緒にやろう』と言ってもらいました。何度も言うようにヤンキースとの破談はまったく引きずっていませんし、オフのトレーニングも順調だったので、今は充実しています。テレビや新聞で今季の順位予想をしていますが、多くの方々が『中島が帰ってきたから西武が1位』と話してくれているのも励みになりますね。先日も評論家の衣笠祥雄さん(65)から、『調子良さそうだな、今年はお前がMVPの候補になると思ってるんだ』と声をかけてもらいました」