さぁ、これから! 菊池雄星「エースへの階段」

超逸材が二軍落ちし、「ノーコン病」
という声も出たが、これはプロの洗礼

FORZA STYLE

「ファーム行きの選択は、現時点では正解だと思います。確かにヒジの使い方は非凡なものがあるし、柔らかいしなりのある投げ方は申し分ない。でも、キャンプでの調整は明らかに遅れていました」

 松坂と雄星を比較して決定的に違うのは、北国育ちの雄星は冬場に投げ込みや遠投などで肩を作った経験がないため、現段階では投球フォームも固まっていないことだという。大石コーチが続ける。

「本来なら、第2クール(2月6日~9日)でフリー打撃に登板しなくてはならず、松坂にしても第2クールで初登板させたものですが、雄星の場合は第5クール初日の2月23日までズレ込んでしまった。そういう状況でストライクが入らず、フォームも固まっていないのだから、これはちょっと無理だ、と。
  このまま実戦で投げさせたら、新人は総じて力んでしまうため、肩やヒジを壊してしまう危険性もある。それを避けるためにも、まずはファームでしっかり投げ込むべきです」

 では、投手としての視点からは、今の雄星はどう分析できるのか。野球評論家・江本孟紀氏(62)はこう語る。

「キャンプで2回見ましたが、昨年までのフォームに比べると、上から投げようという意識が強すぎる気がしました。これは『縦の変化球があったらピッチングが楽になる』と考えているからなのでしょう。でも、そのために、良かった時のスリークォーター気味のフォームが失われ、真っ直ぐも走らないという悪循環に陥っていると思います」

 江本氏は、状態が良い時の雄星の投げる球はストレートも変化球も一級品で、すでに完成されていると、高く評価している。だがその反面、雄星が考えすぎてしまい、自分で自分の足を引っ張っている印象があるという。江本氏が続ける。

「理論だけが先行しちゃってる感じですね。実戦で登板していないうちから、右打者のインローへの変化球が必要だと思い込み、それでフォームを崩してしまっている。そんな頭デッカチなことをしなくても実力はあるんだから、原点に立ち戻ってフォームを固めることが先決だと思う。
  まぁ、あれだけの注目度があるから、周囲も騒がしくて大変なのは分かりますが。マスコミの中にもヘンなのがあって、某テレビの企画では清原(和博)と対談させて、松井秀喜だかイチローだか、対戦したこともない超一流打者を雄星ならどう抑えるか、なんて答えさせていた。
   彼は温厚な性格だから怒りはしないだろうけど、こんなアホな企画に付き合わされて気の毒やなぁって思った(笑)」