2012.04.11(Wed)

政府の説明不足が目立つ食品のセシウム新基準値――茨城大学高妻孝光教授に聞く

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そもそも暫定基準とは?

 厳しい基準値になっているなかで、ひとつ緩和されたのは乾燥きのこ、お茶などです。「食用の実態を踏まえ、原材料の状態と食べる状態(水戻しを行った状態)で一般食品の基準値を適用する」と変更されました。現実的な食べ方に即するというのは国際的にも当然のことで、これはよいことだと思います。

 また、「新基準」が発表されて、「ではこれまでの暫定規制値とは何だったのか?」という疑問を持たれた方も多いと思います。けれども、この「暫定規制値」は別に今回の震災後に付け焼刃的に決めた値ではないのです。それ以前から、原子力発電の事故が起こった場合という想定のもと、「防災指針」のなかで「飲食物の摂取制限に関する指標」として定めていた基準です。

 これは私の理解ですが、おそらく「暫定」というのは、対応は事故の規模や状況によるけれども「ひとまずこの基準を決めておきます」という意味で付けられたのではないかと思います。

 今回の新基準のもとになった、「年間1ミリシーベルト」という値ですが、これはあくまでも「平常時」の基準です。

 放射能への対応は、長いスパンで事を進めていかなければなりません。事故後1年で、いきなり平常時の基準にするのが適切なことなのでしょうか。そして「100ベクレル」のもつ意味を、政府にはもっと言葉を尽くして説明していただきたいと思っています。 

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