[プロ野球]
広島・弦本悠希「新フォームで勝負!」

アイランドリーグ出身NPB選手は今 Vol.4
スポーツコミュニケーションズ

低めのストレートで空振りを

 再昇格を目指して2軍で登板を続けたが、思いとは裏腹にボールは走らなくなっていく。暑い夏を迎え、連日の登板に疲労がたまってしまったのだ。
「アイランドリーグでは週末の3連戦が基本で、残りの4日間は調整に充てられる。でもNPBでは試合が続いて、中継ぎは毎日、ブルペンで肩をつくらなくてはいけない。腕の筋肉が落ちてしまって、リリースの時にうまく力が入らない状態になってしまいました」

 フィジカル面の弱さを痛感した弦本はアイランドリーグ時代にはしなかったウエイトトレーニングにも励むようになった。そして下半身を徹底していじめた。おかげで太ももはひとまわり大きくなった。

 春のキャンプからは連投にも耐えられる効率のよいフォームづくりにも取り組んでいる。
「これまでは力任せ、腕任せで投げている部分が多かったんです。だから疲れて力が衰えるとスピードが落ちる。体も開き気味になってコントロールも悪くなる」

 変えたポイントは上体主導から下半身主導。軸足でしっかりタメをつくり、体重移動の際に後ろの右足のヒザでしっかり送り込んで、前の左足に乗せる。腕は“振る”のではなく、腰の回転で勢いをつけることで“ついてくる”という感覚だ。
「ブルペンでメチャクチャいいボールが投げられています。春先でも140キロ台から出ていますからね」

 アイランドリーグの徳島にいた頃から、弦本の高めにホップするストレートはNPBのスカウトからも好評価を受けていた。ただ、低めのストレートはどうしても押し出すようなかたちになり、ホームベースの手前で垂れてしまっていた。下半身主導のフォームにすることで、本人曰く「地を這うストレート」が投げられるようになったという。「低めのストレートでも空振りをとる」。これが今、追求しているテーマだ。

 2年目のキャンプは2軍スタートだった。14年連続Bクラスからの脱却を目指す広島において、リリーフ陣の整備はひとつのポイントになっている。活きのいい弦本のピッチングが1軍で必要になる時が必ずやってくるはずだ。

 1年目はブログでの発言が“球団批判”ととられるなど、ピッチング以外の部分が目立ってしまった。
「結果を出さないと、文句言っているだけの人間になってしまいますからね。もう1軍で投げるという段階はクリアしたので、今季は結果を残すことを一番に考えていきたい」

 父親の影響で小さい頃からのカープファン。憧れの球団を勝利に導くべく、弦本はその右腕をうならせるつもりだ。

弦本悠希(つるもと・ゆうき)プロフィール>
1989年6月16日、大阪府出身。右投右打の投手。徳島・生光学園高から大阪商業大に進学するも中退。09年よりアイランドリーグの徳島へ。10年に抑えで活躍し、ドラフトで広島から7位指名を受けて入団。MAX148キロのストレートに角度の鋭いフォーク、スライダーのコンビネーションで打者を牛耳る。ルーキーイヤーの昨季は1軍で4試合に登板(勝敗なし)。身長175センチ、82キロ。背番号69。

(石田洋之)