[サッカー]
大野俊三「関塚ジャパンにOAは必要なし!」

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鹿島は戦い方を統一せよ

 今月はJリーグの2012シーズンも幕を開けました。すでに3試合を終えたわけですが、J2から復帰したFC東京が開幕3連勝を飾り、昨季の柏レイソルを彷彿とさせる躍進を見せています。監督が変わり、大黒柱だった今野泰幸(G大阪)も移籍して序盤は苦戦すると見ていただけに正直、驚きの結果です。ただ、まだ3試合。この強さが勢いなのか、真の実力なのか。今後の戦いを注目しましょう。

 一方で、鹿島アントラーズはクラブ史上初の開幕3連敗と苦しんでいます。この状況にはクラブOBとしてショックを受けています。私は今季の鹿島はジョルジーニョ監督になり、タテに速いサッカーに生まれかわると書いてきました。ところが、今の鹿島は新しいスタイルに生まれ変わる以前の根本的な問題を抱えています。何より、パスを回せていないのです。パスを出す選手とそれを受ける周りの動きが連動しておらず、以前のようなスムーズなパスワークが消えてしまっています。これが、3試合連続無得点という異常事態を生み出している大きな要因でしょう。昨季とは選手も変わっているだけに、連携面では時間がかかるのはやむを得ません。ただ、心配なのはどんなサッカーを目指しているのかが、選手間で統一されていないように映ることです。

 では、どのような手を打てばよいのか。私はむやみやたらに選手を入れ替えるのではなく、ある程度、布陣を固定し、選手間の考え方を擦り合わせるべきだと考えます。開幕3試合を振り返ると、後ろの選手が飛び出し、攻撃に絡むシーンも多く見られました。しかし、これは狙った動きではありません。各選手がバラバラに動いた結果、偶然いいかたちになったにすぎません。まずボールを持ったら、周りの選手が素早くスペースに動き出したり、パスコースをつくることが求められます。パスの出し手も、ただスペースに蹴るのではなく、時には長い距離を走った選手をおとりに使うなど、攻撃の緩急をコントロールする必要があります。ここは攻撃のスピードを上げるのか、それともペースダウンするのか。受け手と出し手が同じ考え、方向性で動かないと、以前の流れるような攻撃は繰り出せません。

 守備においては、岩政大樹と中田浩二のセンターバックコンビがあまり機能していませんね。それは、岩政も中田もボールを奪いに行くスタイルが強い選手だからです。センターバックには岩政のようにボールにチャレンジする選手と、それをカバーできるスピードのある選手の組合せがいいと感じます。ただ、スピードのある選手といっても、すぐに名前が挙がらないのが今の鹿島の弱みです。サテライトリーグが休止されている今、若手選手を伸ばすにはリーグ戦やナビスコ杯で使うしかありません。チームの成熟を進める中で、鈴木隆雅や昌子源などの若手DFに経験を積ませることも視野に入れてほしいですね。

 今季は鹿島以外にもガンバ大阪が公式戦5連敗、横浜Fマリノスが3試合でわずかに勝ち点1と、Jリーグ創設以来の強豪クラブが出だしでつまづいています。このまま調子を取り戻せない状態が続くと、J2降格という最悪の事態も招きかねません。実力はあるだけに、早くチームとしてのコンセプトを固め、それを徹底してほしいと思っています。いつか鹿島と水戸ホーリーホックとの“茨城ダービー”の実現を願っていますが、その舞台はJ1であってほしいものです。

大野俊三(おおの しゅんぞう)プロフィール>
元プロサッカー選手。1965年3月29日生まれ、千葉県船橋市出身。1983年に市立習志野高校を卒業後、住友金属工業に入社。1992年鹿島アント ラーズ設立とともにプロ契約を結び、屈強のディフェンダーとして初期のアントラーズ黄金時代を支えた。京都パープルサンガに移籍したのち96年末に現役引 退。その後の2年間を同クラブの指導スタッフ、普及スタッフとして過ごす。現在、鹿島ハイツスポーツプラザ(http://kashima-hsp.com/)の総支配人としてソフト、ハード両面でのスポーツ拠点作りに励む傍ら、サッカー教室やTV解説等で多忙な日々を過ごしている。93年Jリーグベストイレブン、元日本代表。