2012.04.04
# 雑誌

現役の東大教授(安冨歩氏)が明かす
平気で人を騙す「東大の先生たち、この気持ち悪い感じ」

週刊現代 プロフィール

 この文章には、東大話法特有の矛盾が生じています。最初に「100mSv以下でも、直線的にがんが増えると仮定」しておきながら、次の段落では「身体に影響が出始める100mSvに達するには11年以上の月日が必要」と、話を逆転させているからです。

 なぜかというと、仮定のほうは「今の考え方」、つまり「線形閾値なし仮説」という放射線防護業界の標準的な考え方なので、正面切って批判するのは、彼の「立場」からするとまずいからです。そこで一応、「私は線形閾値なし仮説を認めています」と断ったうえで、今度はクルリと立場を変えて、いきなり11年間は安全という「線形閾値あり仮説」に飛び移っている。これは「自分の信念ではなく、立場に合わせた思考を採用する」東大話法で話をしているからです。

 また、このケースは「どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々に話す」という法則にも該当しています。

 東京大学大学院の大橋弘忠教授も、随所で東大話法を駆使しています。たとえば、'05年に佐賀県の古川康知事の主催で行われた「玄海原子力発電所3号機プルサーマル計画の『安全性』について」という討論会で、大橋氏はこう発言します。

「(プルトニウムは)なんにも怖いことはありません。・・・・・・テロリストが取っていって貯水池に投げ込んだと。そこから水道水が供給されていると。じゃあ何万人が死ぬかというと・・・・・・1人も死なないというふうに言われています」

「皆さんは原子炉で事故が起きたら大変だと思っているかもしれませんけど、専門家になればなるほど、そんな格納容器が壊れるなんて思えない」

「私は水蒸気爆発の専門家です。・・・・・・我々専門家の間ではそんなこと(水蒸気爆発)は夢にも考えられていない」

 いずれも欺瞞だらけの発言です。科学的な背景を詳しく説明していく余裕はありませんが、大橋氏は「自分の立場に合わせた思考」に固執し、「都合の悪いことは無視」し、科学的にみて明らかに「つじつまの合わないことでも自信満々に話」しています。

 この討論会は、九州電力が動員した聴衆が半数近くを占めるヤラセでした。東大話法の飛びかう矛盾だらけの討論会だったにもかかわらず、終了後のアンケートでは、原発の安全性に肯定的な意見が約65%もありました。

「君のため」「国民のため」

 肉体の暴力は、暴力をふるう人の動ける範囲に限定されるけれど、言語による暴力は、メディアで、すさまじい範囲に広まります。その破壊力は、人類を滅ぼすことも十分可能なわけです。実際、そういうものによってナチスや、日本の軍国主義が生まれました。

 しかも巧妙なのは、東大話法が基本的に自分の攻撃を隠蔽するために使われるということです。彼らの言う「君のため」「国民のため」は、前後の文脈の中に、ほぼ確実に攻撃的な意図が込められています。

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