二宮清純レポート
福岡ソフトバンクホークス内野手
松田宣浩「遅咲きの男に春が来た」

週刊現代 プロフィール

「おかわり君は、中学生の頃から飛距離が違っていた。当時はキャッチャーをやっていたんですが、何をやっても抜けていました。

 今江もスゴかった。大人のような体付きで〝あれが中学生か〟とびっくりしました。同い年ながら、2人とも僕からすれば雲の上の存在。僕がプロを意識したのは大学に入ってからですが、彼らは小さい頃からプロを意識して硬球を握っていたんじゃないでしょうか・・・・・・」

 今江は'06年3月に行われた第1回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に日本代表として出場し、世界一に貢献した。

 ソフトバンクに入団したばかりの松田はヤフードームでの代表合宿を見学した。代表メンバーの中には今江もいた。目を向けるとあのイチロー(マリナーズ)と一緒に練習をしているではないか。少年時代からのライバルが輝いて見えた。

「自分はプロに入りたてで右も左も分からないのに、今江は代表の中でしっかりとやっている。すごく遠い存在に感じましたね」

 もうひとりのライバル中村は、松田がプロに入る前年に既に22本塁打を記録していた。それから2年間は低迷したが'08年には46本塁打を放って自身初のホームラン王に輝いた。今では押しも押されもしない日本を代表する長距離砲である。

「おかわり君には実績でも経験でも僕は全くかないません。軽々とフェンスオーバーして、しかもゆっくりダイヤモンドを一周する。もう風格すら感じますね。

 もちろん同じフィールドに立つ人間として負けたくないという思いは強いのですが、僕はまだまだ勉強する立場。自分自身でも〝遅咲き〟だと思っているんです。ホップ・ステップ・ジャンプで言えば、まだホップくらいの段階じゃないでしょうか」

 そういえば今江も中村も三塁手。侍ジャパンのホットコーナーを確保するためには、彼らを超えなければならない。

「WBCには是非出てみたい。今年、いい成績を残せば、評価も上がるんじゃないかと・・・・・・。ライバル? 控えのサードでもいいです(笑)。まずは代表のメンバーに入ること。とにかく日の丸をつけてプレーする。それが今現在の大きな目標です」

 飛距離では逆立ちしても中村にはかなわない。しかし、中村にはない武器が松田にはある。

飛距離でも技術でもなく

 足だ。昨季は27個の盗塁を記録し、パ・リーグでは本多雄一(ソフトバンク)、聖澤諒(東北楽天)、岡田幸文(千葉ロッテ)らに次いで8位につけた。

 俊足強打の松田に、ぜひ目指してもらいたい記録がある。それは「トリプルスリー」だ。1シーズンで打率3割以上、本塁打30本以上、盗塁30個以上を同時に達成した選手に与えられる「称号」である。